マクラーレンが販売を発表した歴代F1マシン5台。手前から2021年型MCL35M、1991年型MP4/6Aの2台、2012年型MP4/27A、2023年型MCL37A、マクラーレン・テクノロジー・センターにて
Courtesy Of Tom Hartley Jnr

セナが試したホンダV12からブラピが乗った個体まで。マクラーレンF1、歴代5台を販売へ

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マクラーレン・レーシングが歴代のF1マシン5台を売りに出した。1991年のホンダV12エンジン搭載マシンから、ランド・ノリスが鈴鹿で表彰台に上がり、俳優のブラッド・ピットもドライブした2023年のマシンまで、イギリスの高級車・レーシングカー販売会社トム・ハートレーJnrを通じて新たな所有者を募る。

マクラーレン自身からF1マシンを直接購入できるという、極めてレアな今回の販売リストに並ぶのは、1991年型「MP4/6A」のシャシー#04と#07、2012年型「MP4/27A」のシャシー#01、2021年型「MCL35M」のシャシー#01、そして2023年型「MCL37A」のシャシー#03だ。

これら5台は、いずれも競技での使用を終えてからマクラーレンが保管してきた個体で、引き渡しに向けた整備もチームが担う。

マクラーレン・レーシングの最高経営責任者(CEO)を務めるザク・ブラウンは、今回の売却について次のように説明した。

「これらの象徴的なマクラーレンのF1マシンを手放すことにしたのは、倉庫に置いたままでは、その価値に対して不誠実だと感じたからだ。これらのマシンは走り、レースをするために造られた。だから、実際に使い、楽しんでもらいたい。それが我々の歴史を後世に伝え、ヘリテージ事業を活発に保つ最善の方法だと考えている」

ホンダV12搭載「MP4/6A」、セナと1-2達成

アイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーがドライブした1991年のマクラーレン・ホンダMP4/6をドライブするストフェル・バンドーン、Honda-Racing THANKS-DAY 2016 特別走行リハーサルにてCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

アイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーがドライブした1991年のマクラーレン・ホンダMP4/6をドライブするストフェル・バンドーン、Honda-Racing THANKS-DAY 2016 特別走行リハーサルにて

日本のファンにとって、とりわけなじみ深いMP4/6Aは、マクラーレン・ホンダがコンストラクターズ選手権4連覇、アイルトン・セナが自身3度目のドライバーズタイトルを達成した1991年のマシンで、ホンダの3.5リッターV型12気筒自然吸気エンジン「RA121E」を搭載する。

今回販売される2台を実際にレースでドライブしたのは、セナではなくゲルハルト・ベルガーだが、テストではセナもステアリングを握っている。

シャシー#04を駆ったベルガーはサンマリノGPで2位に入り、セナとの1-2フィニッシュを達成。このレースでは、両者が3位以下の全車を周回遅れにした。

一方、シャシー#07ではイギリスGPで2位を獲得し、出場した4戦すべてで予選トップ5に入った。クラッシュ歴はなく、引き渡し前にマクラーレンが全面的にレストアする。

鈴鹿2位「MCL37A」、俳優ピットもドライブ

鈴鹿サーキットでサイドバイサイドになるマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、2023年9月24日F1日本GP決勝レースCourtesy Of McLaren

鈴鹿サーキットでサイドバイサイドになるマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、2023年9月24日F1日本GP決勝レース

2023年型「MCL37A(MCL60)」のシャシー#03は、ノリスが実戦で使用した個体だ。シンガポールGPと、それに続く日本GPでノリスは2戦連続となる2位表彰台を獲得した。マクラーレンによれば、個人が所有できる機会が提供されたF1マシンとしては、最も年式が新しいマシンだという。

実戦での活躍を終えた後はテストプログラムに投入されており、ノリスのほか、オスカー・ピアストリやミック・シューマッハ、バルテリ・ボッタスらがドライブした。さらに、2025年には映画『F1/エフワン』に関連して、ハリウッド俳優のピットがサーキット・オブ・ジ・アメリカズでこの個体を走らせている。

マクラーレンMCL35Mから降りるダニエル・リカルド、2021年5月8日F1スペインGP予選後のパルクフェルメにてCourtesy Of McLaren

マクラーレンMCL35Mから降りるダニエル・リカルド、2021年5月8日F1スペインGP予選後のパルクフェルメにて

同じくノリスが2021年シーズンにドライブした「MCL35M」のシャシー#01は、エミリア・ロマーニャGP、モナコGP、そしてイタリアGPで表彰台を獲得した。モナコではガルフのスペシャルリバリーをまとい、モンツァではマクラーレンの1-2フィニッシュの一角を担った。

自然吸気V8時代からは、2012年型「MP4/27A」のシャシー#01が加わる。ジェンソン・バトンが同年終盤のレースで使用し、ルイス・ハミルトンもテストでドライブした個体で、こちらは引き渡し前に全面的なレストアが施される。

5台は期限なしで個別販売

販売を担うトム・ハートレーJnrのトム・ハートレー・ジュニア氏は、これまでマクラーレンの複数の売却案件を支援してきた。その中には、バーニー・エクレストンが所有していた69台のグランプリマシン・コレクションや、マンスール・オジェが所有していたマクラーレンの特別なロードカー20台が含まれる。

マクラーレンの元共同オーナー、マンスール・オジェが所有していたマクラーレンの特別なロードカー20台からなるコレクション、バーレーン・インターナショナル・サーキットにて (2)Courtesy Of Tom Hartley Jnr Ltd

マクラーレンの元共同オーナー、マンスール・オジェが所有していたマクラーレンの特別なロードカー20台からなるコレクション、バーレーン・インターナショナル・サーキットにて (2)

エクレストンとオジェのコレクションには個別購入の引き合いもあったが、最終的には、それぞれ1人の買い手が一括購入した。ハートレー氏は、今回も同様の展開になる可能性は「十分にある」としたうえで、次のように語った。

「ただ、この5台は個別に販売する予定で、時間的な制約も一切ない。我々とマクラーレンが最優先するのは、それぞれにふさわしい引き取り先を見つけることだ」

気になる販売価格だが、現時点では明らかにされていない。