
予選では失態、決勝でも逆境。アントネッリ「今季断トツで最悪」のバクーで見せた成熟
2026年F1第15戦アゼルバイジャンGPは、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)にとって「今シーズン断トツで最悪」と語る厳しい週末となった。だが、予選での失態から16番手スタートとなり、フロアが破損する事態に見舞われながらも決勝では冷静さを失わず、ダメージを最小限に抑える5位でフィニッシュし、タイトル争いをリードするドライバーとしての成熟ぶりを印象づけた。
第13戦イタリアGPでは、最後尾から逆転勝利を飾った経験を持つアントネッリだが、バクーの市街地コースでは早い段階で攻め方を変えた。集団を追い抜く難しさと自身のペース不足を痛感し、他車のミスに乗じて着実にポジションを上げる走りに切り替え、荒れた展開を生き残った。
モンツァの再現を断念、序盤に方針転換
予選Q1でウォールに接触して敗退を喫したアントネッリは、セッション後には「失うものはない」と語り、決勝では全開でアタックし続ける姿勢を示していた。だが、レース序盤に直面した状況を踏まえて方針を改めた。
「モンツァやそれ以前のレースと同じペースがあれば、違っていたと思う。全開で攻めていただろうね」とアントネッリは語った。
「でも、かなり早い段階で分かったんだ。オーバーテイクモードを使っている集団を追い抜くのは遥かに難しかった。それに、以前のようなペースもなかった。だから、すぐに考え方を切り替えたんだ」
スタートではひとつ順位を落とし、トップ10に浮上するまでに17周を要した。さらに、周囲ではライバルたちのミスが相次いだ。
アントネッリは、「多くのドライバーがミスをしているのを見て、少し慎重にならざるを得なかった。他のみんなのミスを生かして、順位を上げていった」と明かし、自らの走りを「少しばかりおばあちゃんのようだった」と表現した。
「ひたすらダメージを抑えることを考えて、リスクを取らなかった。仕掛ける前には、確実に行けるかどうかを確認していた」
フロア損傷も5位でダメージ最小限
追い上げの過程ではセーフティーカー(SC)の導入が追い風となった一方、1回目のSC明けには試練が訪れた。ターン1の混乱の中でオリバー・ベアマン(ハース)と接触し、マシンのフロアを損傷するアクシデントに見舞われた。
それでもパニックに陥ることなく安定した走りを続け、チェッカーフラッグまでマシンを運んで10ポイントを獲得した。
バクー入りした時点で81ポイントだった僚友ジョージ・ラッセルに対するリードは66ポイントに縮まった。ただし、アントネッリがノーポイントに終わっていれば、その差は56ポイントまで詰まっていた計算になる。
今回の5位入賞は、初のタイトル獲得に向けて価値の高いダメージコントロールになったと言えるだろう。不調の週末にダメージを最小限に抑えることは、チャンピオンシップを勝ち取るうえで欠かせない資質だ。
F1は1週間後、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットに舞台を移し、10月4日(日)に第16戦バーレーンGPの決勝を迎える。
「来週はちゃんと本来の序列を取り戻して、いつものレベルに戻るようにするよ。今週末は、いつものキミじゃなく、おばあちゃんみたいな走りだったからね」とアントネッリは語った。
2026年F1第15戦アゼルバイジャンGP決勝では、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。マックス・フェルスタッペンが2位、アイザック・ハジャーが3位に入り、レッドブル・レーシングがダブル表彰台を獲得した。
マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットを舞台とする次戦バーレーンGPは、10月2日(金)のフリー走行1で幕を開ける。