
「家族や彼女にまで…」ガスリー、“一線を越えた脅迫”を告白。コラピントも中傷停止訴え…過去には角田裕毅も標的に
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、チームメイトのフランコ・コラピントを後方にとどめることになった2026年F1第14戦スペインGPの後に、自身や家族、交際相手に対して、SNSで誹謗中傷や脅迫が届いたと明かした。
マドリングでのレース終盤、ガスリーの後方でペースを落としたコラピントは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)に迫られた。コラピントはピアストリの追撃を振り切って7位でフィニッシュし、ガスリーは12位でフィニッシュした。両者はレース後、チーム内でこの一件について話し合った。
ガスリー、家族への脅迫に「一線を越えている」
イギリスのモータースポーツ専門メディア『The Race』によると、第15戦アゼルバイジャンGPを前にSNS上の反応について問われたガスリーは、「個人的には、僕らのスポーツにとって少し憂慮すべきことだと感じている」と答えた。
「僕はトップアスリートだから、人目にさらされる立場なのは分かっているし、それは昔から変わらない。でも、脅迫や攻撃の度合いは完全に行き過ぎていると思う。特に、家族や僕の彼女にまで及ぶとなるとね。そんなことがあってはいけないと思う」
ガスリーは、以前とは状況が変わったと述べ、スポーツ全体でより健全な環境を作る方法を見つける必要があると訴えた。
「好かれることもあれば、嫌われることもある。それは全く構わない。でも、画面とキーボードの向こうにいるからといって、越えてはいけない一線がある。その一線があまりにも何度も越えられている」
SNS上の誹謗中傷問題はF1に限らず、モータースポーツ全体で深刻な課題となっている。
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は、「United Against Online Abuse(ネット中傷と闘う連帯、UAOA)」キャンペーンを通じ、教育的・技術的・規制的アプローチを組み合わせた多角的な対策を推進しているものの、依然として問題は続いている。
スペインGPで何が起きていたのか?
アルピーヌはレース序盤のバーチャル・セーフティーカー(VSC)中、ミディアムタイヤでスタートしたコラピントをピットに入れ、ハードタイヤのガスリーをコースに残した。
ガスリーは終盤、この戦略に無線で怒りをあらわにしたが、再びVSCやセーフティーカー(SC)が導入されるか、赤旗が出れば、最高で6位を狙える可能性もあった。
一方のコラピントは第2スティントでガブリエル・ボルトレート(アウディ)に長く前を塞がれていたが、ボルトレートがピットインすると、ガスリーとの差を急速に縮めた。その背後につけていたのがピアストリだった。
周の終わりにピットインするよう伝えられたガスリーは、チームから「後ろのフランコに注意して」と警告を受けていた。ただし、順位を入れ替えるような指示はなく、コラピントがピアストリに追われているといった状況説明も確認されていない。
ガスリーはその直後、「もう君らとは話したくない。無線は終わりだ」とチームへの不満を口にした。コラピントはガスリーがピットに入るまでの間に、ピアストリに対するリードを2秒強から0.2秒近くまで削られた。
ただし、マドリングはオーバーテイクが非常に困難であり、背後に迫ったとはいえ、ピアストリがコラピントを追い抜けるかどうかは別問題だった。
この点についてコラピントは、「いや、危うくオスカーに抜かれるところだった。0.2秒後ろまで来ていたんだ」と反論した。
コラピントも中傷に不快感「配慮すべき」
コラピントはSNSをあまり利用せず、問題の投稿は確認していないとしたうえで、ガスリーが誹謗中傷を受けていることは認識していると説明し、「僕らはチームメイトだし、関係もすごくいい。目標も目指すところも同じで、アルピーヌをより良くすることだから、こういうものを見るのは気分が良くない」と続けた。
また、「去年も一時期、ユーキ(角田裕毅)に対してかなり酷い状況があった」と語り、同様の問題が繰り返し発生していることを認めつつ、オランダGPの際にも自身にペナルティを科したスチュワードが誹謗中傷を受けたため、レース後に会いに行ったと明かした。
「残念だけど、こんなことが当たり前であってはいけない。誰もがキーボードで打ち込む内容や言葉に、もっと気を配るべきなのは間違いない」
加えて、この問題は自身のファンだけに限られるわけではないとも主張。熱心なファンが自身の活躍を願うことに理解を示しつつも、「今の好調な結果を楽しんでもらえればと思う」と呼びかけた。
さらに、ガスリーやエグゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレ、マネージングディレクターのスティーブ・ニールセンを含む首脳陣とともに経緯と改善策を検討したと明かし、その結論について「満足している」と説明した。
「何より大切なことは、改善できる点から学ぶことだ。同じことを繰り返さず、前に進んでいくことが重要なんだ」
コラピントファンが繰り返す誹謗中傷問題
コラピントは2024年のF1デビュー以来、母国アルゼンチンで高い人気を集め、スポーツ界のスターとして扱われてきた。一方で、彼が関係するインシデントを巡っては、一部ファンによる誹謗中傷や脅迫が繰り返し問題となっている。
オランダGPでコラピントにペナルティが科された際には、その裁定を下したスチュワードに大量の誹謗中傷が寄せられた。またアルピーヌは、今季の中国GPにはエステバン・オコンに、昨年のエミリア・ロマーニャGP後には角田裕毅に向けられた殺害予告を各々非難する声明を出している。
2025年にコラピントにシートを奪われる形となったジャック・ドゥーハンも昨年、一部のコラピントファンに対し「僕の家族への嫌がらせをやめてほしい」と訴えていた。また、その年のマイアミGPでコラピントではなく自身が引き続き出場していた場合、「手足をすべて切り落とす」とする内容の脅迫メールを6~7通受け取っていたことも明かしている。この件では警察も介入した。