シルバーストンで見えた”異様な操舵”。ホンダPU前進の裏で表面化したアストンマーティンの「空力的破綻」

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アストンマーティン・ホンダAMR26のパワーユニット(PU)をめぐる状況が着実に前進するなか、2026年F1第9戦イギリスGPでは、これまでその不調に覆い隠されてきた車体側の問題が正面化した。

最適化で着実に前進するホンダ製PU

第4戦マイアミGPで振動問題が一段落すると、次に不規則なギアシフトを含むドライバビリティの問題が露呈した。第5戦カナダGPから第7戦バルセロナ・カタロニアGPにかけて、ドライバーたちは苛立ちを募らせていった。

だが、第8戦オーストリアGP以降、ホンダの取り組みによって状況は変わり始める。フェルナンド・アロンソによれば、エネルギーのデプロイメント(出力展開)、ドライバビリティ、ギアシフトをめぐる状況は着実に改善していった。

さらに、回生の機会が乏しく、2026年の新世代PUにとって試金石となったイギリスGPでは、エネルギーマネジメントの面でも前進が見られた。

もっとも、こうしたPU側の前進は、あくまでセッティングの最適化によるものだ。

ホンダはアップグレード版PUの投入を第14戦オランダGPで計画しており、燃焼室やプレチャンバーの形状変更、潤滑システムの改良によるフリクションの低減など、内燃エンジン(ICE)の改善に取り組んでいる。

高速域で180度操舵「毎周、毎コーナーで挙動が違う」

一方で、何かが改善すれば、それまで覆い隠されてきた問題が代わって表面化する。

イギリスGPでストロールのオンボード映像に映っていたのは、モンテカルロ市街地コースのフェアモント・ヘアピンを曲がるかのような、高速コーナーでの180度オーバーという異例のステアリング操作だった。

高速域では本来、小さな舵角で空力荷重を使って旋回できるはずだが、AMR26はフロントが入りきらず、ドライバーが舵角を足してもなおアウト側に逃げているように見えた。このような状況ではコース内にとどまることも難しい。

実際、ストロールは決勝で6回にわたってトラックリミット違反を犯し、5秒ペナルティを3度科されて完走19台中最下位でフィニッシュした。

異例の数のトラックリミット違反について、ストロールは「ひどいアンダーステア」が原因であると説明。さらに、イギリスの専門メディア『The Race』によると「マシンの挙動は毎周、毎コーナーでまったく違うんだ。空力的に破綻している。だからコース上ではとにかく、問題が多い」とフラストレーションをにじませた。

興味深いのはアロンソの反応だった。バルセロナまではドライバビリティに対する強い不満を重ねてきたが、シルバーストンでの週末を通して2度のF1王者の視線は、マシンの問題ではなく、むしろ一貫してホンダ側の改善という前向きな材料に向けられていた。

史上最も経験豊富なF1ドライバーにとって、予測不能な車体の挙動、すなわちドライバビリティの問題は経験や腕をもってしても対処する術がない一方、深刻なアンダーステアに関しては、歓迎すべきものでないことは明白ながらも、ドライビングでカバーできるということなのかもしれない。

大規模改良目前も、スパは現行仕様

車体側の課題は、開発の出遅れに根っこがある。

F1チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイは、2026年型のモデルを風洞に入れたのは昨年の4月中旬だったと明かしており、ライバルに対しておよそ4カ月出遅れたことを認めている。

現在、シルバーストンのAMRテクノロジーセンターでは、AMR26にとって初となる大規模アップグレードの準備が佳境を迎えている。ニューウェイによれば、この改良にはギアボックスとシャシーの軽量化、リアサスペンションの見直し、新しいノーズ、空力面の大幅な変更が含まれる。

ただ、このアップグレードが投入されるのは第11戦ハンガリーGPであるため、ストロールとアロンソは少なくとも次戦ベルギーGPでも、「空力的に破綻」した現行仕様での走行を余儀なくされる見通しだ。

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