
入賞の兆し見えぬアストンマーティン・ホンダは何のために走るのか。現場責任者が語る「最下位争いの金曜日」の意味
車体側もパワーユニット(PU)側も当面アップグレードは期待できず、ポイント獲得の望みも改善の余地もほとんどなく、現時点では最下位争いが避けられないアストンマーティン・ホンダは、一体何を目的とし、何のために各セッションに臨んでいるのか。
2026年F1第8戦オーストリアGP初日を終え、チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックがその問いに答えた。
キャデラック勢が相次いでトラブルに見舞われたため、初日フリー走行でアストンマーティン・ホンダ勢が最下位を独占することはなかった。それでも非常に厳しい一日となり、フェルナンド・アロンソは19番手、ランス・ストロールは20番手で初日を終えた。
最下位でも続ける基礎作業の意味
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ピットウォールでモニターを見つめるマイク・クラック(アストンマーティン・ホンダ チーフ・トラックサイド・オフィサー)、2026年6月26日(金) F1オーストリアGP FP2(レッドブル・リンク)
クラックは、結果を追求できない状況であっても、燃料搭載量を変えての走行など、やるべき基礎的な作業を着実にこなすことに意味があると説明する。
「まずは宿題をこなすことだ。どのタイヤが我々に最も適しているかを確認することも、その一つだ」
「最終的な結果という点で大きな差がないとしても、やるべき作業をすべてこなすことが重要だと思う。準備を怠ってはならない。マシンが良くなった時に、キレを失わずに対応できるようにね」
レッドブル・リンクは今季初の高地サーキットであり、この日のセッションはヨーロッパ全土を襲う熱波の影響も重なった。
クラックは、この点に触れ、冷却要求を見極める確認作業も重要なタスクだったとしたうえで、「率直に言って、誰もが良い仕事をしてくれた」と続けた。
地道に積み重ねるクロフォードへの称賛
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
イヤホンを装着してFP1走行に向けた準備を進めるジャック・クロフォード(アストンマーティン・ホンダ サードドライバー)、2026年6月26日(金) F1オーストリアGP(レッドブル・リンク)
FP1ではストロールに代わり、サードドライバーのジャック・クロフォードがAMR26をドライブした。
クロフォードは20番手に終わったものの、アロンソを0.131秒上回った。トップからは3.4秒遅れ、レギュラードライバー最下位だったアレックス・アルボン(ウィリアムズ)からも1.6秒離されたが、クラックはクロフォードを高く評価した。
「かなり良かった。すぐに乗りこなしていたよ。彼はシミュレーターで多くの作業をこなしている。最初から最後まで、まったく非の打ちどころがなかった」
クラックは、クロフォードの普段からの取り組みにも言及した。
「彼の準備の仕方、自分自身を整える姿勢、週の間に積み重ねるシミュレーター作業。それは表には見えてこない、多くの地道な努力だ」
結果よりも今は「最善の仕事」を
では、残りの週末に向けてアストンマーティン・ホンダは何を目指すのか。クラックは、結果をいったん脇に置き、最善を尽くしてミスなくオペレーションを全うすることだと説明する。
「最も大事なのは、ミスなく仕事をすることだと思う。クリーンなピットストップを行い、適切な判断を下し、結果については少し脇に置いて、可能な限り最善の仕事をする」
「結果に重きを置きすぎると、誰もがフラストレーションを抱えることになる」
とはいえ、クラックはポイント獲得を完全に諦めているわけではないという。モナコGPではアロンソが10位でフィニッシュし、大番狂わせの入賞を果たした。
もっとも、クラック自身もレッドブル・リンクでモナコの再現が可能であると、心の底から信じているわけではない。
クラックは、「もちろん、ここでそれが起こる可能性は非常に、非常に低い」としつつ、「それでも、求められる仕事をこなすことが大切だと思う」と締めくくった。
2026年F1オーストリアGPの初日FP2をトップで締め括ったのはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)。2番手にはオスカー・ピアストリ、3番手にはランド・ノリスと、マクラーレン勢がこれに続く結果となった。
FP3は日本時間6月27日(土)19時30分から、公式予選は同23時から1時間に渡ってレッドブル・リンクで開催される。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。