FIA、メルセデスとレッドブルの「MGU-Kトリック」を禁止。鈴鹿の失速が引き金に

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メルセデスおよびレッドブルのF1パワーユニット(PU)を搭載するチームが、予選アタックの終盤で用いていたとされるMGU-Kの例外規定を活用したトリックが、国際自動車連盟(FIA)により正式に禁止されたようだ。

両PUメーカーは、電動パワーの出力低減に関する規定を回避する方法を見つけ出していたが、日本GPで複数台が危険な失速状態に陥ったことで問題が表面化。その後、FIAが介入し、技術文書を通じて事実上の使用禁止を通告したと、イギリスの専門メディア『The Race』が伝えた。

規則の「盲点」、鈴鹿で露呈した危険性

2026年のレギュレーションでは、バッテリーの電力展開を段階的に落とす「ランプダウン=一定比率での減少」が定められており、ドライバーがアクセルを全開にしていても、システム側で自動的にMGU-Kの電力パワーが段階的に低減される。

この値はサーキットごとに異なり、1秒間に「最大50kWまで」あるいは「最大100kWまで」と規則で規定されている。

だが両メーカー勢は、トラブル発生時にシステムを緊急停止させる例外規定を活用することでこのランプダウンを回避し、ライバルより長く最大出力状態を維持して走行していた。この手法によるアドバンテージは100分の1秒単位と推計されている。

ただし悪用防止のため、この例外規定を使用した場合は、その後60秒間にわたってMGU-Kの使用が制限される「コンティニュアス・オフセット」なる制限が課される。通常のレース中であれば、60秒間もの電動パワーの喪失は致命的であり、抑止力として機能するはずだった。

だが、予選アタックが終わった直後のインラップ中にMGU-Kが停止しても、事実上ペナルティとはならず、両メーカー勢はアタックラップの最終シケインからフィニッシュラインまでの間で、このトリックの活用を試みていたようだ。

ピットレーンでクルーに囲まれながら作業を受けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のRB22、2026年3月28日(土) F1日本GP予選(鈴鹿サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピットレーンでクルーに囲まれながら作業を受けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のRB22、2026年3月28日(土) F1日本GP予選(鈴鹿サーキット)

一方で、この「コンティニュアス・オフセット」状態のマシンは鈴鹿で危険な状況を生み出した。このトリックが最初に露見したのは開幕戦オーストラリアGPとされるが、問題が表面化したのは日本GPだった。アンドレア・キミ・アントネッリとマックス・フェルスタッペンはプラクティス中、鈴鹿のS字で失速し、アレックス・アルボンはターン1でマシン停止を強いられた。

エンジン回転数と過給圧が落ちた状況では、本来であればMGU-Kがターボラグを補う。だが、60秒間の使用制限が課されていたため、アントネッリとフェルスタッペンは鈴鹿の高速区間で危険なほど低速の状態を維持することになった。なお中国GPでは、最終コーナーからタイミングラインまでの距離が非常に短かったため、この手法は使われていなかったとされる。

フェラーリ反発、FIAが使用を制限

両メーカーに最も反発したのはフェラーリとされる。合法性そのものは受け入れつつも、安全上の懸念が大きいとしてFIAに明確化を求めたという。

ライバルチームからの懸念を受け、FIAは技術文書を通してMGU-Kの緊急停止機能自体は維持しつつも、それを正当な場面以外で使用することは容認しない姿勢を明確にしたと報じられている。「コンティニュアス・オフセット」は、あくまで本来の緊急用途に限るというわけだ。

正当な目的での「コンティニュアス・オフセット」か否かは、ラップ終盤のデータを分析すれば一目瞭然だろう。巧妙な抜け道として注目を集めた今回の運用は、日本GPで危険な副作用が明るみに出てから約2週間後、事実上ふさがれることとなった。

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