
「今なら分かってもらえると思う」とアロンソ、GP2エンジン発言から10年。ホンダ再苦戦で評価変化?
2026年シーズンの幕開けとともにF1の表舞台に戻ってきたホンダだが、その足取りはマクラーレンとの暗黒の提携時代を彷彿とさせるほどに重い。フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、10年前のホンダに対する自身の批判は、今なら理解されるのではないかとの見解を示した。
2015年の日本GP、マクラーレンに所属していたアロンソが無線でホンダのパワーユニットを「GP2エンジン」と批判した場面は、日本のF1ファンにとって忘れがたい記憶だ。この発言は当時、世界中で大きな波紋を呼んだ。アロンソへの批判も少なくなかった。
アロンソは第2戦中国GPに先立ち、「ある意味で10年たった今、当時の状況の中で僕に向けられていた見方は少し変わったかもしれない。もしかすると今は10年前の僕の言動について、彼らは正しかったと思っているかもしれない」と語った。
「拍手して喜ぶべきだったのか」アロンソが語る当時の現実
Courtesy Of McLaren
フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)、2018年
アロンソは、当時のマクラーレンにおいて不満を抱いていたのは自分一人ではなかったと振り返る。チームメイトであったジェンソン・バトンやストフェル・バンドーン、そしてチーム全体が「プロジェクトもパワーユニットも、開始時点で十分に成熟していなかった」という同じ認識を持っていたという。
「無線でフラストレーションを露わにした発言の件だと思うけど、2〜3年前までは、10年前に僕が狂ったように批判していた、みたいに思われていた」とアロンソは語る。
「競争心あふれる2度のワールドチャンピオンとしては、あの状況に満足できるはずがない。クルマの中で拍手して喜ぶべきだったのかって話だよ」
「でも今、当時の状況と現在の状況を傍から見比べることで、皆が僕らに対して少しは理解的になり、問題についても以前より分かってくれるようになったのではと思う」
現在のアストンマーティン・ホンダの状況は、10年前のマクラーレン・ホンダと重なる部分が少なくない。先週末の開幕戦オーストラリアGPでは周回数を制限せざるを得ず、決勝では他車と順位を争うのではなく、「プラクティス」と位置付けてデータ収集に専念した。
プレシーズンテストからの総走行距離という観点で、ライバルチームの約10分の1にとどまっている状況に触れてアロンソは、マシンの最適化どころか「スタート地点」から一歩踏み出すことさえできていない状態だと指摘する。
さらに追い打ちをかけるのが、スペアパーツの不足だ。多発するトラブルによって予備のバッテリーが枯渇し、トラブルが許されない綱渡りの運営を強いられており、その状況は今週末の中国GPでも続くことが予想される。
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、開幕戦で問題に見舞われたバッテリーについて、修復作業を続けていると明かしつつ、中国GPでの予備の数については明言を避けた。
「ワンチーム」として共闘姿勢で解決へ、一方で見通し立たず
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
笑顔でハイタッチを交わしバスケットボールを抱えるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年3月12日(木) F1中国GPメディアデー(上海インターナショナル・サーキット)
一方でアロンソは「僕らはワンチームだ」と共闘していく姿勢を強調し、ホンダが直面している課題を解決するために、アストンが持つリソースをPU開発、特に振動問題やデプロイメントの領域に割り当てていることを明かした。
「今のF1は昔とは違う。あらゆるデータがあるし、GPSもある。他チームから得られる分析もある。そういうリソースを使って、ホンダが一つの問題に集中できるようにして、別の部分では僕らがパワーユニットの領域でサポートする」
だが、解決の見通しは経っていない。次々戦にはホンダのお膝元である鈴鹿サーキットを舞台とする第3戦日本GPが控えているが、アロンソはいつ正常な戦いができるかについて「予想するのは難しい」と認める。
「まだ問題が多すぎるし、原因がはっきりしないトラブルも毎日のように突然出てくる。だからまだ問題を完全に把握できていない感じだ」
さらに信頼性の問題が解決されたとしても、その先にはパフォーマンス向上という新たな課題が待ち受けている。
「正直、競争力を持つようになるには、もっと時間がかかると思う。まず信頼性の問題を直さないといけないけど、パワー面でも遅れを取っているからね。つまり段階が二つある感じだ」
そんなアロンソが今週末の中国GPに掲げる目標は、ポイントでも表彰台でもない。
「ほぼほぼ普通のフリー走行と予選をこなし、周回を重ね、もし日曜にフルレース距離に挑戦できたら満足だ」