
ニューウェイ「アロンソは精神的に厳しい状況」アストン・ホンダ出口見えず
2026年のF1開幕戦オーストラリアGPに向けて苦境が続く中、アストンマーティンのチーム代表エイドリアン・ニューウェイは、フェルナンド・アロンソが「精神的に厳しい状況」に置かれているとの認識を示した。
ニューウェイとホンダという強力な体制を整え、新たな時代のF1に挑んだアストンだが、その船出は、かつてアロンソがマクラーレン時代に味わった苦い記憶を思い起こさせるものとなった。
期待を集めた新車「AMR26」は、ドライバーの神経損傷さえ懸念されるほどの激しい振動に見舞われているとされる。この振動はバッテリー破損を引き起こし、周回数の制限を招いたうえ、パフォーマンス不足も重なり、チームは開幕前から深刻な状況に追い込まれている。
ホンダ製パワーユニット(PU)関連とされるトラブルの影響でFP1の欠場を余儀なくされたアロンソは、続くFP2では18周を走行したものの、トップから4.933秒遅れの20番手に沈んだ。バッテリーの予備は既に底をつき、あと1つでも失えば開幕戦欠場が現実味を帯びる。
ニューウェイも認める才能と、その苦境
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
サングラスをかけたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年3月5日(木) F1オーストラリアGPメディアデー(アルバート・パーク・サーキット)
アロンソが最後にワールドチャンピオンに輝いてから、すでに20年が過ぎた。多くのファンが、アストンこそが彼を3度目の戴冠へ導く最後の、そして最良の機会だと信じてきた。ニューウェイもその一人なのだろう。
「フェルナンドは、私の考えでは本当の意味での偉大なドライバーの一人だ。彼の能力、才能、総合的な力を考えれば、実際には2度のタイトルや現在の勝利数より、はるかに多くを勝ち取っているべきだ」とニューウェイは称賛を惜しまない。
「40代となった今なお非常に速く、才能に溢れ、非常に鋭い。本人と話しても、身体的に問題を抱えているようには感じない。視力も非常に良く、反応速度も優れている。実際、昨年はスタートの反応時間で最速だったことを本人も誇りにしている」
「本当に驚くべき人物だ」
一方で、如何に優れたドライバーであっても、マシンに競争力がなければ勝利を争うことは難しい。
パワーユニットのトラブルを別にしても、AMR26は開発のスタート地点が非常に遅く、チームもアロンソ本人も出遅れを覚悟していた。だが、これにプレシーズンで露呈した振動問題が加わったことで状況は悪化。好転の兆しは見えず、アロンソは現行契約最終年にして45歳のシーズンを再び未勝利で終える可能性が高まっている。
ニューウェイは、「我々はみな、期待を抑えようとしていた。難しい年になると分かっていたからだ。特にシャシー側は、開発のスタートが非常に遅く、開発スケジュールも非常にタイトだった」と語る。
「言い訳をするつもりはないが、そのためシーズン前半は遅れを取る可能性が高いと分かっていた。それでもシャシーにはポテンシャルがあると私は信じているし、遅れを取り戻せると思っていた。だが、予期せぬ問題が発生した」
「だから今、フェルナンドにとっては精神的に厳しい状況にある」
アロンソは冷静「僕らはそこまで絶望していない」
一方で、当のアロンソ本人は、数え切れない数の荒波に揉まれてきた百戦錬磨のベテランらしく冷静な構えを崩していない。セッション後のインタビューで彼は、メディアの報じ方にくぎを刺した。
「メディアや周りの連中ほど、僕らは悲観してはいない」とアロンソは語る。
「誰かがうまくいっているときは良い話として広がるし、うまくいっていないときは両極端に誇張されがちだ」
「自分たちがどういう立場に置かれているかは分かってる。昨日も言ったように、目の前には大きな課題が待ち受けているけど、チーム全員がそれを受け入れ、この状況を抜け出すために全力を尽くしている」
「F1というのは非常に複雑な技術の世界で、物事には時間がかかる。僕らは毎日、そして毎週戦い続けているけど、望むほどの進歩がすぐには見えないこともある」
「それでも、大小さまざまな形でチームは前進している。だからそれができるだけ早くラップタイムとして現れてくれることを願っている」