
FIA、直前のSMゾーン廃止を土壇場で撤回。反発を受け方針転換/F1オーストラリアGP
2026年F1開幕戦オーストラリアGPのFP3を前に発表されたストレートモード(SM)区間の一部廃止決定が、チームとドライバーの強い反発を受けて直前で撤回された。最終フリー走行開始まで1時間を切った段階で方針が覆る、異例の展開となった。
問題となったのは、アルバート・パーク・サーキットのターン8〜9区間に設定されていた第4SMゾーンだ。国際自動車連盟(FIA)は土曜の朝、FP3開始に先立ち、このゾーンを廃止するとチームへ通達した。
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アルバート・パーク・サーキット(F1オーストラリアGP)のコースレイアウト図-2026年版
情報筋によれば、初日フリー走行後に行われたドライバーズ・ブリーフィングで、ドライバー側から問題が提起されたという。単独走行でさえ高速の当該区間を低ドラッグ仕様のSMモードで通過するのは難しく、レースで前走車を追う状況では危険性が高まる可能性があるとの指摘があったとされる。
FIAのシングルシーター部門を統括するニコラス・トンバジスによれば、この区間でSMモードのまま十分なダウンフォースを確保できていたのは、全11チーム中わずか4チームだけだった。
こうした状況を受け、FIAは土曜朝に第4SMゾーンの廃止を各チームへ通達した。だが、この決定は即座に強い反発を招いた。
SMモードが使えず、高ドラッグのコーナーモードのままストレートを走ることになれば、バッテリー消費量は大きく増える。チームはエネルギーマネジメント戦略の根本的な見直しを迫られることになる。
さらにダウンフォース/空気抵抗の増加によってプランクの摩耗が進み、失格リスクが高まるだけでなく、タイヤへの負荷も増大する。つまり、初日フリー走行で積み上げた作業が無駄となり、セットアップも全面的に見直す必要が生じる可能性があった。チーム側にとって受け入れ難い変更だったとみられる。
マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは「(変更を支持する声は)実際にはほとんどなかった」と指摘しており、グリッドの大多数がこの変更に反対していたことがうかがえる。
土曜朝のパドックでは、チームとドライバーがそろってFIAに再検討を求めた。各チームが個別に働きかけただけでなく、ドライバー側も足並みをそろえて意見を提出したとも報じられている。
結果として、FP3開始まで1時間を切ったタイミングでFIAは方針を撤回。当初の予定通り、5つのSMゾーンが維持されることになった。FIAは次のように説明した。
「この1時間でチームとドライバーから寄せられた意見、さらにチームが提供した追加分析を受け、アルバート・パークの第4SMゾーンの廃止決定を撤回する。この修正は即時発効とし、第4ゾーンはFP3で使用される。FP3およびセッション終了後に、さらなる評価を行う」
ひとまず混乱は収束し、パドックは落ち着きを取り戻した。だが新たな規則が導入された初戦で露呈したFIAのシミュレーション精度の甘さ、そして直後に撤回を余儀なくされるような判断は、今後のシーズン運営に一抹の不安を残した。