
キャデラックF1、法廷闘争に直面。リバリー発表のスーパーボウルCMを巡り、著名映画監督が「盗用」を主張
『アルマゲドン』や『パール・ハーバー』、『トランスフォーマー』シリーズなどで知られるハリウッドを代表する映画監督マイケル・ベイが、キャデラックF1チームとダン・タウリスCEOを相手取り、150万ドル(約2億3600万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。
米音楽雑誌『Rolling Stone』の報道によれば、ド派手な爆発とカーアクションで知られる映画界の巨匠ベイは、自身のアイデアがスーパーボウル向けCM制作に盗用されたと主張している。
訴状によると、キャデラックF1チームのタウリスCEOは、2025年11月にベイに直接連絡を取り、日本時間本日2月8日に放映されるNFL決勝戦スーパーボウルのCMで発表するための広告制作を依頼したとされる。このCMでは、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスがドライブする2026年型F1マシンのリバリーが初公開される予定となっている。
ベイはこの依頼を受け、アップル、アマゾン、ユニバーサル、パラマウント向けの映画企画を一時停止し、制作費200万ドル、ポストプロダクション費100万ドルという概算予算を前提に、スタッフの手配を開始したという。
ベイは、キャデラックの親会社であるゼネラル・モーターズと25年にわたる協力関係を築いてきた。自身の映画『トランスフォーマー』シリーズに登場するキャラクター「バンブルビー」のデザインを共同開発した実績もある。だが今回のプロジェクトで、その関係は破綻した。
「彼らは最初から私をだますつもりだった。『マイケル・ベイ風』の広告を、格安で手に入れようとしていたのだ」と、ベイは訴状の中で強い怒りを示している。
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カメラを構えて撮影に臨むマイケル・ベイ監督の姿、2007年1月16日(火)-映画「TRANSFORMERS:REVENGE-OF-THE-FALLEN」撮影現場
ベイが提案した具体的なアイデアには、ジョン・F・ケネディの「月への挑戦」に関する演説に『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』を想起させる映像を重ねる演出や、『アルマゲドン』の砂漠シーンをモチーフとしたドラマチックなビジュアルなど、徹夜で練り上げた構想が含まれていたという。
ベイ側は、こうした要素が、同氏が外された後に公開されたプロモーション素材に色濃く反映されていると主張している。
当初の計画では、2025年12月11日にモハーヴェ空港の滑走路で、映画『F1』で使用されたマシンを米国内から運び込み、撮影を開始する予定だった。だが、撮影直前の12月6日、別の人物にCM制作を任せることになったと知らされたという。
ベイは「アイデアを無断で使用しながら、その対価が一切支払われていない」として、口頭契約違反や詐欺行為を主張。未払いの監督料や制作費として150万ドルに加え、懲罰的損害賠償を求めている。
一連の主張からは、書面による正式契約を結ぶ前段階で取り組んだ制作作業の成果の一部が、本人の承諾なく使用された可能性がうかがえる。ただし、問題のCMは数時間後に公開される予定であり、実際にベイのアイデアが使用されているかどうかは現時点では不明だ。
キャデラックF1の広報担当者は声明を通して、「我々は彼とスーパーボウルCMの監督について話し合ったが、2度の会合の後、彼が我々のタイムラインに対応できないことが明らかになり、最終的に前進する道はなかった」と説明した。
さらに、「コンセプトやクリエイティブはすでに完成しており、彼はあくまで監督候補の一人に過ぎなかった。また、広告自体がまだ公開されていない段階で訴訟が提起されたことも異例だ」として、主張への疑問を示している。
「我々は本件が適切に解決されると確信している。それでもなお、マイケル・ベイの創造的才能を高く評価しており、将来的に協業できる機会があれば歓迎したい」
巨額の制作費が動くスーパーボウル広告を巡る今回の法廷闘争は、キャデラックのF1参戦イメージにどのような影響を及ぼすのか。今後の司法判断が注目される。

