
2030年F1王座へ”本気”の一歩、アウディ「遊び半分ではない」ベルリンで新たな時代の幕開けを宣言
2026年1月20日、ドイツ・ベルリンにて、アウディ・レボリュートF1チームがFIA-F1世界選手権における新たな時代の幕開けを告げた。会場となったカーフトバーク・ベルリンは、単なる新車発表の場ではなく、アウディがF1に本腰を入れて臨む姿勢を示す象徴的な舞台となった。
「単なるローンチではない」―アウディの覚悟
アウディAGのCEOであり、アウディ・モータースポーツAGの取締役会会長を務めるゲルノート・ドレルナーは、今回の発表について「単なるローンチではない」と指摘した。
「今日という日は、発表会の枠を超え、アウディにとっての新たな時代の幕開けを公に宣言するものだ。F1はモータースポーツ界で最も過酷な舞台であり、我々は単に競うためではなく、技術による前進の未来を定義するためにここにいる」
デルナーはまた、このプロジェクトは企業全体の変革を促す触媒であり、「我々は単に数合わせのために参戦するのではない」とした上で、2030年までに世界選手権を争うことを目標としていると述べた。
この目標についてチーム代表のジョナサン・ウィートリーは「遊び半分で来ているわけではない。非常に野心的な挑戦だが、我々は自分たちの立ち位置を理解している。どこから始まり、どこへ向かうのかは分かっている。このチームを整えていきたい」と語った。
Courtesy Of Audi
ローンチイベント会場に展示されたアウディF1チームの2026年レーシングスーツ、2026年1月20日ドイツ・ベルリン
「これは初日に過ぎない」とウィートリー
ウィートリーは、2026年型マシンR26を「数千時間に及ぶ努力の結晶」と表現しつつも、「我々は大きな誇りと同時に謙虚な姿勢で、この旅を始める。これは長い戦いの、まだ初日でしかない」と気を引き締めた。
アウディの前身であるザウバーは昨季、コンストラクターズランキング9位でシーズンを終えている。過去10年間での表彰台は、昨年のイギリスGPでニコ・ヒュルケンベルグが獲得した1回のみだ。
一方、アウディF1プロジェクトの責任者を務めるマティア・ビノットは、ザウバー買収を基盤としたワークスチームとして参戦する決断こそが最大の強みであるとし、プロジェクトの中核となる組織構造について次のように説明した。
「フルワークスチームとしてF1に参戦するという戦略的決定は、我々の最大の資産だ。我々はこの数年間、ノイブルクでパワーユニットを構築するだけでなく、ヒンウィルとビスターにおけるシャシー開発を結びつける技術組織の基盤を築いてきた」
PUと車体を同時開発することの利点についてビノットは「我々は自らの運命を完全にコントロールできる」と語る。
「妥協を排除し、成功に不可欠な機敏さと革新性を実現できる。エンジンブロックからフロントウイングに至るまで、あらゆる変数を一つのビジョンで制御することが、チャンピオンシップを勝ち取るための基盤となる」
ヒュルケンベルグが感じた「他とは違うエネルギー」
Courtesy Of Audi
ローンチイベントにてウォールに掲げられたアウディ・レボリュートF1チームのロゴ、2026年1月20日ドイツ・ベルリン
ヒュルケンベルグは、長年F1に身を置いてきた経験から、アウディのプロジェクトに明確な本気度と独特のエネルギーを感じ取っているという。
「長年F1のパドックに身を置いていると、野心と実力の違いが分かるようになる。今日ここで感じるのは、際立った真剣さと、他とは違うエネルギーだ。僕らは、明確な長期ビジョンと、莫大なリソース、世界トップレベルの専門性に裏打ちされた真のワークスチームだ」
さらに、「アウディのF1挑戦の出発点にドライバーとして立ち会えることは、非常に刺激的だ。共に特別なものを築くチャンスがあり、メルボルンでこのクルマを走らせるのが待ちきれない」と語り、開幕戦への期待を口にした。
F1参戦2シーズン目を迎える若手ガブリエル・ボルトレートにとって、アウディのエンブレムを背負って走ることは特別な意味を持つという。
「モータースポーツにおいて象徴的で、勝利に満ちた歴史を持つフォーリングスのために走ることは、まさに夢が叶った瞬間だ。ル・マンやラリーでのアウディの支配的な歴史を聞いて育った僕にとって、その遺産をF1へと引き継ぐ役割を担えることは、計り知れない名誉だ」
責任の重さを自覚しながらも、ボルトレートは前を向く。
「これは一生に一度のチャンスだ。責任の大きさは感じているけど、それ以上に、このチームと共に学び、成長したいという強いモチベーションがある。アウディの新たな章を刻むため、持てる力のすべてを捧げる覚悟だ」
長期構想はいよいよ実行フェーズへ
アウディは1月26日から30日にかけて行われるバルセロナでの非公開シェイクダウンに参加し、その後はバーレーンで2回の公式プレシーズンテストに臨む。
公式グランプリデビューは、3月8日のオーストラリアGP。3年半に及ぶ準備期間を経て動き出したアウディF1の挑戦は、短期的な結果を追う段階ではない。いま、その壮大な長期構想は、静かに、だが確実に実行フェーズへと踏み出した。