
豪議会で「ピアストリへの冷遇」が議題に? 上院議員が運輸委員会で”マクラーレン陰謀論”を問いただす珍事
マクラーレンが2025年F1第23戦カタールGPで犯した戦略ミスが、地球の裏側のオーストラリア国会にまで影響を与えている。上院議員が委員会審議の場で、チームによるオスカー・ピアストリへの「冷遇疑惑」を問いただす一幕があった。
豪州議会で噴き出した“冷遇論”
舞台は、決勝翌日に開かれた「地方・地域問題および運輸立法委員会」だ。質問に立ったのは国民党のマット・キャナヴァン上院議員で、同国の若き英雄ピアストリが勝利を逃し、チームメイトのランド・ノリス共々タイトル争いで後退した件について、唐突に切り出した。
「一部のオーストラリア人にとっては、いささか腹立たしい夜だった」
キャナヴァン議員はこう前置きし、出席していた運輸省当局者にこう問いかけた。
「誰に聞けばいいのか分からないが、あなた方は交通や自動車を扱っている。そこで聞きたい。マクラーレンはオスカー・ピアストリに対して偏っていて、そのせいで彼は世界選手権タイトルを失おうとしているのではないか?」
委員会室は爆笑に包まれ、運輸省のトップを務めるジム・ベッツ氏は苦笑しながら「それは私の意見を求めているということだね」と応じた。
一方、アンソニー・チゾルム地域開発担当補佐大臣は「確かに今年は、彼にとって割を食う判断が何度かあったと思う」と語り、「うちの娘はF1に夢中だから、今朝起きたらきっとかなり怒るだろうね」と続けた。
ピアストリはカタールGPの週末、2つのポールポジションを獲得し、スプリントレースでも勝利を収めるなど圧倒的な速さを見せていた。決勝でも序盤をリードしていたが、7周目のセーフティーカー(SC)導入時にステイアウトを選択したことで、すべての歯車が狂った。
2台同時にピットインさせる選択肢も検討されたが、チームはダブルスタック(同時ピットイン)により、2番手を走行していたノリスがタイムロスする可能性を懸念した。
ステイアウトを選択したことについて、チーム代表のアンドレア・ステラは、ノリスのロスを考慮したことを認めつつも、「主な理由は、他の全員が入るとは予想していなかったことにある」と釈明した。
待遇差をめぐる憶測、反論するブラウン
ピアストリは2ヶ月前までチャンピオンシップをリードしていたが、カタールGPでの敗北によりランキング3位で最終戦を迎えることになった。
母国の期待を背負う若きオーストラリア人ドライバーの失速に、一部の政治家までもが過敏になっているようだが、同様の陰謀論は一部ファンの間でも根強い。
Courtesy Of McLaren
ピットウォールからガレージを見守るマクラーレンのザク・ブラウンCEO、2025年11月30日(日) F1カタールGP決勝(ロサイル・インターナショナル・サーキット)
マクラーレンのザク・ブラウンCEOは最近、ギャビー・ローガンとマーク・チャップマンがホストを務めるポッドキャスト番組の中で、ピアストリとノリスの待遇差を指摘する声に対して、「完全にナンセンスだ」と反論した。
一方で、ホストから「それを証明するのは難しいのでは?」と追及されると、こう応じた。
「人々はあまりに事情を知らなすぎる。残念ながら、今日のソーシャルメディアのクリックベイト(釣り見出し)のせいで、事実が大きく歪められてしまうことがある」
「2人は社交的に接している。といっても、一緒に遊びに行くわけではないがね。2人の間に緊張感を感じたことは一度もない。もし不機嫌になるとしたら、それはアンドレア(ステラ代表)か私に対してで、お互いに対して不機嫌になったことは一度もない」
ブラウンはまた、マクラーレン関連のニュースやSNSを隅々までチェックしていると明かしたうえで、時折こう感じると語った。
「私は非常に面の皮が厚い人間だ。あまりに突拍子もない嫌がらせを見ると逆に楽しんでしまうところもある。あまりに馬鹿らしいからだ!」
「ただ、広報の連中が返信するのを許してくれないんだ。『スポーツ界で唯一の”皮肉で返す男”になれないだろうか?』と思ったこともあるんだけどね」
議会でも取り上げられるほどの関心と懐疑。最終戦アブダビGPに向け、マクラーレンを取り巻く喧騒はコース外でも最高潮に達している。
ピアストリは自身初のワールドチャンピオンを懸けて、ノリスに16ポイント、フェルスタッペンに4ポイント差のランキング3位でヤス・マリーナ・サーキットでの最終決戦に臨む。