
マクラーレン、フェルスタッペンの逆転タイトルを「ガチ警戒」― 94点の大量リードも”深刻な脅威”とみなす理由とは
シーズン残り8戦で94ポイント差がある状況ながら、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は依然としてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をタイトル争いにおける現実的な脅威と見なしている。
警戒の背景1:新フロアと“底打ち”
マクラーレンは、イタリアGPでのレッドブルの速さを偶発的なものとは見なしておらず、終盤戦に向けて連勝を積み重ねる可能性が十分にあると見ている。
英専門メディア『The Race』によるとステラは、「モンツァの結果は、モンツァ特有、あるいは低ダウンフォース特有の一過性のものではないというのが我々の結論だ」と述べ、「彼らは新しいフロアを投入しているし、セットアップ(の方向性)も少し変えた可能性がある」と続けた。
さらに「フェルスタッペンは以前より遥かに、フロアが底打ちすると話している。つまりパフォーマンスを解き放った可能性がある」と指摘した。無線でのやり取りから、レッドブルが車高をより下げてダウンフォースを増やした兆候があるという。
フェルスタッペンはモンツァでポールポジションから支配的な勝利を収めた。続くアゼルバイジャンでも再びポールを獲得し、上昇基調にあることを裏付けた。ステラは「彼らが現在の好調さを維持しても驚きはない。レッドブルは非常に強力なレースの優勝候補であり、ドライバーズ選手権争いにおける本当に深刻な脅威だ」と強調した。
Courtesy Of McLaren
ピットウォールに座るマクラーレンのアンドレア・ステラ代表、2025年9月20日(土) F1アゼルバイジャンGP予選(バクー市街地コース)
マックス逆転王座の条件と前例
フェルスタッペンは選手権リーダーのオスカー・ピアストリを94点差で追う立場だ。シーズンは残り8戦に加えてスプリントが3戦。仮にすべてのレースとスプリントを制すれば224点を積み上げられる。その上で、ピアストリの得点が130点以下にとどまれば逆転が成立する。
もっとも、ピアストリは毎戦3位を重ねるだけで138点を稼ぐことができるため、依然として圧倒的に有利な立場にある。それでもステラは警戒を解かない。
確かに過去には、2010年にセバスチャン・ベッテルがフェルナンド・アロンソを逆転してタイトルを獲得した例があるが、その時のポイント差は44点だった。つまり歴史を振り返れば、フェルスタッペンが5連覇という偉業を成し遂げるには、まさに奇跡的とも言える展開が求められるということだ。
内部競争という不穏な変数
ステラは、ランド・ノリスとピアストリのマクラーレン内部での争いがフェルスタッペンに有利に働く可能性も考慮している。
「忘れてはならないのは、彼がマックス・フェルスタッペンだということだ。4年連続の世界王者であり、そのクルマには高い競争力がある。そして常にマクラーレンが優位に立てるわけではない」としたうえで、「ランドとオスカーは互いに競り合っているため、必ずしも常にポイントを最大化できるわけではない」と述べた。
その一方で「その点については十分に認識しているが、彼らには自由にレースをさせるつもりだ。二人にはそれぞれ自分の夢を追う権利がある。だからこそ、フェルスタッペンとレッドブルは間違いなくチャンピオン争いの中にいるのだ」と語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
予選後のパルクフェルメでサムズアップするポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月20日(土) F1アゼルバイジャンGP予選(バクー市街地コース)
ナンバー1指定は”現時点”で除外
フェルスタッペンの連勝傾向が続けば、マクラーレンがいずれかのドライバーをナンバー1に据えるシナリオも考えられる。
だがステラは、「二人ともがタイトルを争う条件を満たし、そのための権利とそれに足るだけのポイントを獲得している」と強調し、当面は平等に扱う方針を貫く考えを示した。ただし、将来的にナンバー1体制を取る可能性も認めた。
「レースごとに状況を観察して、ある時点で『明らかに決断すべき』と判断した場合、ドライバー本人たちを含むチーム全員が納得すれば決断を下すだろう。でもそれは現時点では非常に遠い話であり、今の我々の考え方からも外れている」と結んだ。