
ホーナー解任&メキーズ起用の”理由”と新権力構造―沈黙を破るマルコ、新体制で転換するレッドブルF1
クリスチャン・ホーナーのチーム代表解任とローラン・メキーズの起用について、レッドブルGmbHは公式な説明を一切行っていない。だが、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが沈黙を破り、その一部を明かした。
2025年F1第13戦ベルギーGPの舞台、スパ・フランコルシャンのガレージ裏で独衛星テレビ『Sky Sports』のインタビューに応じたマルコは、今回の決定を下したのはレッドブルGmbHの企業プロジェクトおよび新規投資部門のCEOを務めるオリバー・ミンツラフであると説明した。
「決定を下したのは経営陣、つまりオリバー・ミンツラフだ。我々は火曜日にロンドンでクリスチャン・ホーナー本人に解任を伝えた。同時に、彼の20年にわたる貢献、そして8度のタイトル獲得に対する感謝も正式に伝えた」と述べた。
解任の理由については、「さまざまな要素の組み合わせの結果」とした上で、「何よりもパフォーマンスが期待された水準に達していなかったことが大きい」と説明した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ホスピタリティで話し合いを行うレッドブル社の企業プロジェクト・新規投資部門CEOを務めるオリバー・ミンツラフとクリスチャン・ホーナー(レッドブル代表)、ヘルムート・マルコ(レッドブル顧問)、2025年4月18日(金) F1サウジアラビアGP(ジェッダ市街地コース)
ホーナーの後任には、レーシング・ブルズでチーム代表を務めていたローラン・メキーズが抜擢された。ハースの小松礼雄、マクラーレンのアンドレア・ステラなど、近年のF1ではエンジニア出身のチーム代表が再建に成功する事例が増えており、今回の人選もこうした潮流に沿うものとなっている。
メキーズを後任に選んだ理由についてマルコは、技術的バックグラウンドを持つことは現在のF1において重要な要素であるとした上で、「レーシング・ブルズで非常に良い仕事をしていたことが挙げられる。技術面だけでなく、チームの対外的な印象も明らかに好転させた。そして彼はエンジニアとしての優れた能力を持ち合わせている」と説明した。
これまでホーナーは、レッドブル・レーシング、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズ、そしてレッドブル・パワートレインズといった主要部門の権限を一手に掌握していたが、この“全権体制”が本社の不満を招いたとみられている。
「新生レッドブル:判明した”8つ”の事実」でその可能性を指摘した通り、メキーズの役割は、ホーナーと比較して「大幅に限定」され、「主な焦点はレース運営」に絞られることになるという。
マルコは、「ミルトンキーンズの組織は全体として2,000人規模だが、メキーズは主に技術面やレース運営に集中する。マーケティングや広報、パワートレインなどは別の担当者が行うため、彼はその分、レースの成功に向けてエネルギーを注ぐことができる」と語り、分権型組織への移行が進行中であることを示唆した。
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メディアデーを前にパドックを歩くローラン・メキーズ(レッドブル代表)、2025年7月24日(木) F1ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)