キャリア初の表彰台でシャンパンシャワーを楽しむ3位フィニッシュしたニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)、2025年7月6日F1イギリスGP シルバーストン・サーキット (2)

ヒュルケンベルグ、16年越しF1初表彰台「最近ご無沙汰だったから…」思わず漏らした“率直な一言”

  • Published:

2010年3月14日のF1デビュー戦から数えて239戦目、2025年F1第12戦イギリスGPでキャリア初の表彰台に上がったニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)は、久々のシャンパンシャワーを心から堪能した。

日曜のシルバーストン・サーキットで37歳のドイツ人ドライバーは、それまで続いていた「238戦連続未表彰台」という“不名誉な記録”に終止符を打ったが、本人はそのことをさほど気に留めていなかった。

「正直、そんな記録は気にしちゃいなかったよ。もちろん知ってはいたけどね。僕は常に“今”を生きるタイプだから」

独紙『BILD』のインタビューに応じたヒュルケンベルグは、表彰台の上で何を思ったか?と問われ、「シャンパンシャワーのやり方を忘れてなくてよかったよ!ジュニアカテゴリーでは何度もやっていたけど、最近はご無沙汰だったからね」と語った。

「現実とは思えない光景だった。19番手からスタートして、まさか2時間後に表彰台に立っているなんて。想像だにしてなかった」

「これを現実として実感できるまでには、まだ数日かかると思う」

ホスピタリティでキャリア初の3位表彰台を獲得したニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)を迎え入れるチーム代表のジョナサン・ウィートリー、2025年7月6日F1イギリスGP決勝レースCourtesy Of Sauber Motorsport AG

ホスピタリティでキャリア初の3位表彰台を獲得したニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)を迎え入れるチーム代表のジョナサン・ウィートリー、2025年7月6日F1イギリスGP決勝レース

ヒュルケンベルグがF1デビュー前に最後に表彰台に立ったのは、2009年のGP2シリーズ、アルガルヴェ・サーキットで優勝した時だ。この年はシーズンを通して5勝を含む10回の表彰台を記録し、圧倒的な強さでチャンピオンの座に輝いた。

もっとも、それ以降「表彰台と無縁だった」というわけではない。2015年のル・マン24時間レースでは、ニック・タンディ、アール・バンバーとともにポルシェ919ハイブリッドを駆り、初挑戦で総合優勝を果たしている。

ニコ・ヒュルケンベルグとカルロス・サインツ、2018年F1イギリスGPファンゾーンにてCourtesy Of Renault

ニコ・ヒュルケンベルグとカルロス・サインツ、2018年F1イギリスGPファンゾーンにて

レース終盤には、母国イギリスGPでの13年連続表彰台を狙う7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンの猛追を受けた。

「チェッカーフラッグを受けるまで、表彰台に上がれるなんて確信はなかった。この手のコンディションでは何が起きるか分からないからね」とヒュルケンベルグは振り返る。

「ラスト10周、最後のピットストップの後は、まさにスリリングだった。ルイスが母国の観客の前で、どうしても表彰台に立ちたいと思っていたことは分かっていたしね」

「チームから『5秒の差がついたぞ』って言われたとき、これはいけるかもって思ったけど、一切気を抜くことはできなかった。夢を見てる余裕なんてなかったし、101%の集中力が必要だった。本当にスリラーみたいな展開だった」

F1イギリスGP特集