メルセデスのリザーブ・ドライバーを務めるバルテリ・ボッタス、2025年F1日本GP(鈴鹿サーキット)
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ボッタス、キャデラックF1初年度の“本命”に浮上か―ペレス後退の可能性

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2026年にF1世界選手権への新規参戦を予定しているキャデラックが、メルセデスのリザーブドライバーであるバルテリ・ボッタスを第一候補として交渉を進めている可能性が報じられている。

イギリスの専門紙『Autosport』が報じたところによれば、当初は元レッドブルのセルジオ・ペレスが有力視されていたものの、現在はボッタスが優位に立っているとされる。

ゼネラルモーターズ(GM)傘下の高級車ブランド、キャデラックは、F1参入に向けた体制構築を急いでいる。チーム代表を務めるグレアム・ロードンと、チーム運営を担うTWGのCEOダン・トーリスは、7月のF1イギリスGPに合わせて現地入りし、複数のドライバー関係者と会談する予定だという。

ペレスからボッタスへ、交渉優先順位が変化

パドックでは今年春頃まで、ペレスが“最有力候補”と目されていたが、本人の交渉への関与が不透明な状況が続いたことで優先順位を下げられた模様だ。一方、昨季限りでザウバーを離脱したボッタスは、F1復帰への意欲を隠さず、キャデラックを題材とした動画をSNSで投稿するなど注目を集めている。

オーストリアGPを前に公開されたその動画では、ボッタスが路上で出会ったキャデラックのSUVの運転席に手を置きながら「いいシートだな。2つあるみたいだね、どっちも空いてる」とコメントし、「座ってみれば?」と促されると「まだその時じゃない」と返す様子が収められている。この演出は、F1ファンや関係者の間で「明確な意思表示」と受け取られている。

経験重視か、若手とのペアか―ドライバー構成に注目

現段階では、キャデラックが経験豊富な2名を起用するのか、それとも若手とベテランの組み合わせを採るのかは明言されていない。前者であれば、ペレスとボッタスの“共演”も視野に入るが、後者の場合はブラジル出身のフェリペ・ドルゴヴィッチがセカンドシート候補と見られている。

ドルゴヴィッチはアストンマーチンのリザーブドライバーとして3シーズン目を迎えているが、レースシート獲得の見通しは立っておらず、同チームの将来構想の蚊帳の外に置かれている感が否めない。ゆえに、外部に活路を見出す動きが現実味を帯び始めている。

早ければ数週間以内に決定

TWGグループの代表であるトーリスは、イギリスGPのタイミングで複数の候補者マネジメントと面談を行い、遅くとも今夏中にはファーストシートを確定させたい意向だとされる。セカンドシートについては、今後の交渉次第で9月以降の決定になる可能性もあると伝えられている。

F1参戦初年度となる2026年は、テクニカルレギュレーションの大幅変更が予定されており、キャデラックにとってはパフォーマンス面とブランドイメージの両立が重要課題となる。そのため、初年度の“顔”として起用されるドライバーの人選には、単なる速さだけでなく、メディア対応力やファンベースの規模、市場への影響力といった側面も重視されると見られる。

キャデラックの決断は、新興チームとしての方向性を占う分水嶺となる。長年の実績と存在感を武器に“帰還”を狙うボッタスは、その象徴となるのだろうか。

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