モンテカルロ市街地コースのパドックを歩くアーヴィッド・リンブラッド(カンポス・レーシング)、2025年5月22〜25日 FIA-F2選手権第5戦モナコ
Courtesy Of Red Bull Content Pool

リンブラッド、初の本格F1テストを完了─週末デビューに向け岩佐歩夢とAT04をシェア

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イタリアメディアの報道によると、レッドブル・ジュニア育成プログラムの最有力株とされるアーヴィッド・リンブラッドが、現地時間6月23日にイモラ・サーキットでレーシング・ブルズの2023年型マシン「AT04」を使用したF1テストに臨んだ。

リンブラッドは今年2月にも同サーキットでAT04をドライブしているが、今回はTPC(旧型車テスト)を活用したもので、距離制限なしの本格的なF1テストとしては初めての機会となった。この日は午前をリンブラッドが、午後をリザーブドライバーの岩佐歩夢が担当した。

今回のプログラムは、ラップタイムの限界を探るショートランに加え、複数のコンパウンドを使用したロングラン、そしてスタート練習を取り入れた内容で構成されており、両者にとって貴重な習熟機会となったようだ。

テスト背景:残り5枠のルーキー起用

本テストの背景には、2025年の競技規則改正により、1チームあたり年間4回に増加したルーキードライバーのフリー走行起用義務がある。

レッドブルおよびレーシング・ブルズの2チームには、合計8回のルーキー起用が義務付けられており、その一部をリンブラッドが担う見通しだ。これまでに岩佐とアイザック・ハジャーが合わせて3枠を消化しており、今後の割り振りに注目が集まる。

フリー走行への出走にはスーパーライセンスの取得が必須となるが、17歳のリンブラッドは資格を得られる原則18歳という年齢要件を満たしていない。

そこでレッドブルは今年2月、国際自動車連盟(FIA)に対して特例措置を申請し、6月上旬にその承認を獲得。これにより、リンブラッドは8月の誕生日を待たずにF1フリー走行への出走が可能となった。

“理想的モデル”を歩むリンブラッド

リンブラッドは今季FIA-F2選手権での活躍も目覚ましく、前戦バルセロナではフィーチャーレース初優勝を達成。現在ランキング3位につけており、首位に立つマクラーレン育成のアレックス・ダン、2位のリチャード・フェルシュホーを追いかけている。

ジュニア・カテゴリーでの結果、F1マシンでのテスト経験、そしてF1フリー走行での実戦機会──これらを段階的に積み重ねていくキャリア形成こそが、レッドブル育成体系における「理想的モデル」とされており、リンブラッドはその王道を着実に歩みつつある。

今後のF2での成績や、レッドブルおよびレーシング・ブルズのシート状況次第では、早ければ2026年にもリンブラッドにF1昇格のチャンスが巡ってくる可能性がある。