
佐藤琢磨「ノーミスでやれた」3度目制覇へ好位置も”まだ50点”という厳しい現実―笑顔と感服のインディ500予選
2025年の第109回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)予選において、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が4周平均232.478mph(374.137 km/h)という圧巻の走りを披露し、最前列2番グリッドを獲得した。
悔しさ滲ませるも満面の笑み
「本当は『ポールを取った』と言いたかった」と予選後、悔しさを滲ませた佐藤だが、2度目のインディ500制覇を成し遂げた2020年以来となるフロントロウの獲得に満面の笑みを浮かべた。
「チームとしての現実的な目標はトップ6に入ることだったので、本当に嬉しいです」
トップ12予選直前のプラクティスでは10番手と、ファスト6進出には程遠い位置につけていた佐藤だったが、走行を重ねる毎に調整を重ねていき、6番手でファスト6に駒を進めると、驚異的な速さを引き出し2番手をマークした。
「メカニックにエンジニア、本当に素晴らしいサポートをしてもらって、僕は幸せです。自分としてもノーミスでやれましたし、予選は完璧なハンドリングの下で全て出し切ることができました」と佐藤は胸を張った。
Courtesy Of Penske Entertainment
アテンプトに向かう佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月18日第109回インディ500予選2日目(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)
波乱の予選—強豪ペンスキーが全滅
今回の予選は例年にない波乱の展開となった。昨年のインディ500予選でフロントロウを独占した強豪チーム・ペンスキーの3台すべてが、トップ12予選に出走できないという異例の事態が発生。パドックに衝撃が走った。
佐藤は「ペンスキーの不運に助けられた部分はあると思う」と率直に認めつつも、「ファスト6での争いでは実力で結果を掴み取った」と自信をのぞかせた。
特筆すべきは、プラクティスを通して終始、上位につけていたチップ・ガナッシ・レーシング勢を打ち破ったことだ。今季5戦で4勝と絶好調のアレックス・パロウは6番手、実力者スコット・ディクソンも4番手にとどまった。
佐藤は、かつてのチームメイトたちを下したことについて「ガナッシをやっつけることもできましたし、本当に最高の予選だったと思います」と喜びを語った。
新人シュワルツマンの歴史的ポール
予選の最大の話題は、佐藤のアテンプトの後に登場したプレマ・レーシングのロバート・シュワルツマンによるポール獲得だ。新規参戦チームの、オーバルトラック初挑戦の新人ドライバーによる歴史的瞬間に、佐藤も思わず「すごかった。感服した」と称賛を惜しまなかった。
Courtesy Of Penske Entertainment
ポールポジションを獲得したロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)を祝福する2番手の佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月18日第109回インディ500予選2日目(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)
決勝に向けた課題—出来は「まだ50点」
予選での輝かしい結果とは裏腹に、佐藤は決勝に向けた課題を冷静に見つめている。インディ500の決勝は、2.5マイルオーバルを200周で争う長丁場。予選とは異なり、他車のダーティーエアーを受けながらの勝負となるため、予選仕様のマシン設定とは大きく異なる調整が必要となる。
「レースカーの出来はまだ50点くらいにしか仕上がっていないため、正直、これからは本当に大変だと思います」と佐藤は率直に語る。
月曜日に控えるプラクティスと最終カーブデーでのセッションを最大限に活用し、「もう一度気を引き締めて」作業に取り組み、マシンを仕上げる構えだ。
佐藤の3度目の制覇となるか、新星シュワルツマンが歴史に名を刻むか—インディアナポリスの聖地は、5月25日の決勝に向けてさらに熱を帯びていくことになる。
Courtesy Of Penske Entertainment
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月18日第109回インディ500予選2日目(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)
2025年の第109回インディ500は5月25日(日)23時より、スポーツ専門チャンネル「GAORA SPORTS」にて生中継される。「スカパー!」を通して視聴可能で、月額料金は1,320円(税込)となる。