インディアナポリス・モーター・スピードウェイを走行する佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月13日第109回インディ500プラクティス1

2025年インディ500初日結果:佐藤琢磨、”痛み”を抱えての再始動―ペンスキーとガナッシが存在感

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現地時間5月13日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで第109回インディアナポリス500(インディ500)の初日プラクティスが行われた。インディカー史に名を刻む名門チーム、チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングが改めて実力の高さを見せつけた。

セッションは雨と落雷の影響で計3時間近くの短縮を余儀なくされたが、その限られた走行時間の中、2018年のインディ500ウィナー、ウィル・パワーが227.026mphの最速ラップを記録。史上初となる大会3連覇に挑むジョセフ・ニューガーデンが僅差の2番手に続き、ペンスキー勢が最上位を独占した。

「チーム全体のベースラインはかなり良い。チームメイトから学べることも多かった。自分の弱点を見つけて改善することが、インディ500における成功の鍵だ」とパワーは振り返った。さらに、5番手にはスコット・マクラフリンが入り、ペンスキー勢3台全てがトップ5に名を連ねた。

インディアナポリス・モーター・スピードウェイを並走するチーム・ペンスキーのウィル・パワーとジョセフ・ニューガーデン、2025年5月13日第109回インディ500プラクティス1Courtesy Of Penske Entertainment

インディアナポリス・モーター・スピードウェイを並走するチーム・ペンスキーのウィル・パワーとジョセフ・ニューガーデン、2025年5月13日第109回インディ500プラクティス1

一方、ライバルのガナッシも黙ってはいない。今季ここまで5戦4勝と圧倒的な勢いを見せているポイントリーダー、アレックス・パロウが3番手を記録。6度のシリーズ王者スコット・ディクソンが4番手に続いた。

トップ5外で存在感を示したのは、4度のインディ500優勝を誇るエリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング)だ。224.523mphで6番手につけたベテランは、歴代最多となる5勝目を狙って虎視眈々と準備を進めている。

スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)、2025年5月13日第109回インディ500プラクティス1Courtesy Of Penske Entertainment

スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)、2025年5月13日第109回インディ500プラクティス1

佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は車両トラブルに見舞われ、走行時間が制限されるなか、31番手でセッションを終えた。先月の大クラッシュによる影響で、体には依然として痛みが残っており、この日は実質的に“新車”のシェイクダウンに充てられた1日となった。

4月末に行われたオープンテストの最終日、佐藤はスリップストリームの恩恵を一切受けない“ノートウ・ラップ”で全体最速を記録。高い競争力を示していたが、その直後に94Gという激しい衝撃を伴う大クラッシュに見舞われた。

幸いにも大きな怪我はなかったが、チームは通常2か月かけて行う作業をわずか2週間でこなし、急ピッチで新車を準備するという厳しいスケジュールを強いられた。

走行に向けて準備する佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月13日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)Courtesy Of Penske Entertainment

走行に向けて準備する佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、2025年5月13日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)

初日プラクティスを終えた佐藤は、クラッシュの影響について「体にはまだ痛みが残っている」と認めつつも、走行には支障ないと笑顔を見せた。セッション中にはウェイトジャッカーの不具合にも見舞われ、「出鼻をくじかれた」と振り返るが、それでも「想定していたターゲットには持っていけた」と一定の手応えを語った。

クラッシュ後としては初の走行ということもあり、「体を慣らしながら慎重に走った」と明かし、2日目以降はプログラムをすべて消化できるように進めていきたいと前向きな姿勢を見せた。

佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)と握手を交わすグレアム・レイホール、2025年5月13日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)Courtesy Of Penske Entertainment

佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)と握手を交わすグレアム・レイホール、2025年5月13日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)

プラクティスは現地時間5月14日も続行され、5月17日(土)・18日(日)に予選が行われる。伝統に則り、34台のエントリーから1台が「予選落ち」となる。決勝レースは日本時間5月26日(月)未明にスタート予定。各陣営はプラクティスを通じて調整を進めていくことになる。

第109回インディ500プラクティス1結果

Pos. Driver Time Gap Laps
1 ウィル・パワー
Team Penske
00:39.6430
227.026 mi/h / 365.363 km/h
–.—- 73
2 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
00:39.6527
226.971 mi/h / 365.274 km/h
0.0097
0.055 mi/h / 0.089 km/h
63
3 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
00:39.7047
226.673 mi/h / 364.795 km/h
0.0617
0.353 mi/h / 0.568 km/h
51
4 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
00:39.9896
225.059 mi/h / 362.197 km/h
0.3466
1.967 mi/h / 3.166 km/h
53
5 スコット・マクラフリン
Team Penske
00:39.9991
225.005 mi/h / 362.11 km/h
0.3561
2.021 mi/h / 3.253 km/h
52
6 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
00:40.0850
224.523 mi/h / 361.335 km/h
0.4420
2.503 mi/h / 4.028 km/h
25
7 アレキサンダー・ロッシ
Ed Carpenter Racing
00:40.1165
224.347 mi/h / 361.051 km/h
0.4735
2.679 mi/h / 4.312 km/h
51
8 マーカス・アームストロング
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
00:40.1405
224.212 mi/h / 360.834 km/h
0.4975
2.814 mi/h / 4.529 km/h
59
9 マーカス・エリクソン
Andretti Global
00:40.1483
224.169 mi/h / 360.765 km/h
0.5053
2.857 mi/h / 4.598 km/h
47
10 マルコ・アンドレッティ
Andretti Herta w/Marco & Curb-Agajanian
00:40.1522
224.147 mi/h / 360.73 km/h
0.5092
2.879 mi/h / 4.633 km/h
44
11 クリスチャン・ラスムッセン
Ed Carpenter Racing
00:40.1906
223.933 mi/h / 360.385 km/h
0.5476
3.093 mi/h / 4.978 km/h
75
12 デイビッド・マルーカス
A.J. Foyt Enterprises
00:40.3269
223.176 mi/h / 359.167 km/h
0.6839
3.850 mi/h / 6.196 km/h
35
13 ジャック・ハーヴィー
DRR-Cusick Motorsports
00:40.3909
222.822 mi/h / 358.597 km/h
0.7479
4.204 mi/h / 6.766 km/h
47
14 ライアン・ハンター=レイ
DRR-Cusick Motorsports
00:40.4123
222.704 mi/h / 358.407 km/h
0.7693
4.322 mi/h / 6.956 km/h
50
15 エド・カーペンター
Ed Carpenter Racing
00:40.4204
222.66 mi/h / 358.337 km/h
0.7774
4.366 mi/h / 7.026 km/h
39
16 コルトン・ハータ
Andretti Global w/ Curb-Agajanian
00:40.4427
222.537 mi/h / 358.139 km/h
0.7997
4.489 mi/h / 7.224 km/h
40
17 スティング・レイ・ロブ
Juncos Hollinger Racing
00:40.4608
222.438 mi/h / 357.979 km/h
0.8178
4.588 mi/h / 7.384 km/h
37
18 フェリックス・ローゼンクヴィスト
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
00:40.4794
222.335 mi/h / 357.813 km/h
0.8364
4.691 mi/h / 7.550 km/h
55
19 カイル・カークウッド
Andretti Global
00:40.5350
222.03 mi/h / 357.323 km/h
0.8920
4.996 mi/h / 8.040 km/h
39
20 ノーラン・シーゲル
Arrow McLaren
00:40.5731
221.822 mi/h / 356.988 km/h
0.9301
5.204 mi/h / 8.375 km/h
69
21 コナー・デイリー
Juncos Hollinger Racing
00:40.6008
221.671 mi/h / 356.745 km/h
0.9578
5.355 mi/h / 8.618 km/h
33
22 キフィン・シンプソン
Chip Ganassi
00:40.6084
221.629 mi/h / 356.677 km/h
0.9654
5.397 mi/h / 8.686 km/h
84
23 クリスチャン・ルンガー
Arrow McLaren
00:40.6758
221.262 mi/h / 356.087 km/h
1.0328
5.764 mi/h / 9.276 km/h
51
24 カイル・ラーソン
Arrow McLaren
00:40.6858
221.207 mi/h / 355.998 km/h
1.0428
5.819 mi/h / 9.365 km/h
45
25 デブリン・デフランチェスコ
Rahal Letterman Lanigan Racing
00:40.6870
221.201 mi/h / 355.989 km/h
1.0440
5.825 mi/h / 9.374 km/h
42
26 グレアム・レイホール
Rahal Letterman Lanigan Racing
00:40.6978
221.142 mi/h / 355.894 km/h
1.0548
5.884 mi/h / 9.469 km/h
35
27 サンティノ・フェルッチ
A.J. Foyt Enterprises
00:40.7151
221.048 mi/h / 355.742 km/h
1.0721
5.978 mi/h / 9.621 km/h
21
28 ジェイコブ・エイベル
Dale Coyne Racing
00:40.7271
220.983 mi/h / 355.638 km/h
1.0841
6.043 mi/h / 9.725 km/h
40
29 パトリシオ・オワード
Arrow McLaren
00:40.8602
220.263 mi/h / 354.479 km/h
1.2172
6.763 mi/h / 10.884 km/h
35
30 ルイス・フォスター
Rahal Letterman Lanigan Racing
00:40.8973
220.063 mi/h / 354.157 km/h
1.2543
6.963 mi/h / 11.206 km/h
54
31 佐藤琢磨
Rahal Letterman Lanigan Racing
00:40.9095
219.998 mi/h / 354.052 km/h
1.2665
7.028 mi/h / 11.311 km/h
29
32 リーナス・ヴィーケイ
Dale Coyne Racing
00:41.0959
219 mi/h / 352.446 km/h
1.4529
8.026 mi/h / 12.917 km/h
54
33 ロバート・シュワルツマン
Prema Racing
00:41.3155
217.836 mi/h / 350.573 km/h
1.6725
9.190 mi/h / 14.790 km/h
6
34 カラム・アイロット
Prema Racing
00:41.4385
217.189 mi/h / 349.532 km/h
1.7955
9.837 mi/h / 15.831 km/h
16