表彰台の上で3位トロフィーを掲げるジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

F1マイアミGP:レッドブルの異議却下「減速」の解釈が争点に―ラッセル3位表彰台を維持

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2025年F1第6戦マイアミGP決勝後、レッドブル・レーシングがジョージ・ラッセル(メルセデス)に対して提出していた異議申し立てが、スチュワードによって却下された。これにより、ラッセルの3位フィニッシュが正式に確定し、4位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は表彰台に届かなかった。

レッドブル、黄旗下での走行に異議

レッドブルが問題視したのは、レース中に黄旗が掲示された際のラッセルのドライビングだった。フェルスタッペンは無線で「ジョージ(ラッセル)が減速したか確認してくれ。黄旗だった」とチームに伝え、違反の可能性を指摘。これを受け、レッドブルはレース後、FIAに対し「黄旗区間でラッセルが適切な減速を行わなかった」として正式に異議を申し立てた。

主張の要点は以下の2点に集約される。

  • ラッセルは黄旗時にスロットルを戻したが、速度の実質的な低下はなかった
  • 規則に記載された「明確な速度低下」とは、黄旗区間に入る前と比較して絶対的な速度が下がっていることを意味する

フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼは、レース中に「ラッセルとのギャップを5秒以内に保て」と指示しており、フェルスタッペンはラッセルから2.312秒差でフィニッシュしていた。もしラッセルにタイムペナルティが科されていれば、フェルスタッペンが3位表彰台に繰り上がる可能性があった。

不明瞭な規則上の「減速」

だが、デレク・ワーウィックを含む4名のスチュワードは、レース後に両チーム代表と関係者から事情聴取を行った上で、レッドブルの異議申し立てを却下する決定を下した。

オンボード映像の調査およびテレメトリデータの解析により、ラッセルが黄旗区間でスロットルを約25%戻し、結果として約30%のトルク低下が生じていたことが確認された。一方、速度に関しては、通常のレーシングスピードと比べれば明らかに低下していたものの、区間進入前との比較においては、絶対速度がわずかに上昇していたという。

レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは裁定が下される前、「一番重要なのは、ルールを明確にすることだ。規則には『減速』としか書かれていない。スロットルオフとか、スロットルを戻す時間については書かれていない。ただ『減速』しろってあるだけなんだ」と語っていた。

競技規則第26条1項(a)では、黄旗掲示時に「明確な速度低下」を義務づけているが、それが「絶対速度の低下」を指すのか、通常のレーシングスピードに対する「相対的な速度低下」を指すのかについては明記されていない。

この点についてスチュワードは、コーナーやブレーキングゾーンなど、走行区間によっては自然と絶対速度が下がる場面があるため、規則の文脈上は「相対的な速度低下」として解釈すべきとの判断を示した。

ガスリーとサインツに警告─黄旗無視も情状酌量

黄旗提示中に適切な減速を行わなかったとして召喚されたピエール・ガスリー(アルピーヌ)およびカルロス・サインツ(ウィリアムズ)に対し、スチュワードは警告処分を言い渡すにとどめた。

当該区間において黄旗が振られていたのはマーシャルポストの1箇所のみで、場所としてもかなりの高速の区間であり、またポストの背景も黄色で視認しにくかったことが確認された。また、停止中の車両もコースから見えない位置にあった。

ガスリーとサインツはともに、「黄旗や停止車両は視認できなかった」と説明しており、スチュワードは特殊な状況下にあったことを考慮。最終的にペナルティの適用は見送り、警告という判断に至った。

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