サウジアラビア、F1チーム買収に関心表明―さらなるF1投資拡大を視野

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2025年のF1サウジアラビアGPを目前に控え、サウジアラビア自動車・オートバイ連盟(SAMF)会長であるハリド・ビン・スルタン・アル=アブドゥラ・アル=ファイサル王子が、F1チーム買収の可能性について前向きな姿勢を示した。

「サウジF1チーム」誕生の可能性を示唆

米専門メディア『Racer』によると、王子はF1チームを保有する可能性について、「起こり得る。この成長ぶりを見る限り、近いうちに起こるかもしれない」と語り、次のように続けた。

「もしF1チームを買うのなら、それは利益を見込んでのことになるだろう。特に、それがPIF(サウジ公共投資基金)傘下の企業による買収であれば、なおさらだ」

「F1は新たな市場へと拡大しており、世界的に売上が伸びている。アラムコはアストンマーチンと提携している。こうした流れを踏まえれば、サウジアラビアがF1チームを保有するのは不思議なことではない。もし現実的であり、意味があるのであれば──やる価値はある」

すでに広範なF1投資を実施

サウジアラビアはすでにF1に対して多額の投資を行ってきた。2021年からはジェッダでグランプリを開催し、現在は首都リヤド近郊のキディヤに新サーキットを建設中だ。

また、国営石油企業アラムコはF1のグローバルパートナーであると同時に、アストンマーチンF1チームのタイトルスポンサーも務める。PIFは2021年にマクラーレンに出資し、アストンマーチンの自動車部門株式20.5%も保有している。

既存チーム買収か、新規参戦か

現行のコンコルド協定では、最大12チームまでのF1参戦が認められている。2026年にはキャデラックの新規参戦が予定されており、来季のグリッド数は11チームとなる見通しだ。つまり、新規チームの設立も、既存チームの買収も参入手段となり得る。

一方で、カナダの実業家ローレンス・ストロールは先月、アストンマーチンのチーム株式の一部売却により1億2500万ポンド超の資金を調達する方針を発表。投資銀行レイン・グループに対し、株式売却のための買い手探しを委託している。

また、ルノー傘下のアルピーヌについては公式に売却の意向を否定しているものの、その将来については依然として憶測が絶えない。

王子は「どのチームを買収するか、どう運営していくかは簡単な判断ではない」としながらも、「我々は強い関心を持っている。F1レースを開催し、チームのスポンサーもしている。だから、サウジアラビアのF1チームが発表されても驚くことではない」と語った。

さらに「個人的には、サウジのチームをぜひ見てみたい。ただし、サウジアラビアやその企業が関与するのであれば、正しい形で、そして成功してほしい。難しい問題ではあるが……なぜダメだと言えるだろうか?」と、実現への期待をにじませた。

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