レッドブル昇格―ローソンはいつ、どのようにして知ったのか?家族の”犠牲”と父の涙、その詳細と裏話
2025年のレッドブル・レーシング昇格が正式発表されたのは12月19日のことであったが、リアム・ローソンは遡ること10日前の12月9日の時点ですでに、その事実を知らされていた。
それは、2024年シーズンのF1最終アブダビGP後の翌日、株主を含めたレッドブルの上層部による意思決定会議が行われた日だった。チーム代表のクリスチャン・ホーナーから「会議はうまくいった」とのテキストメッセージが送られてきたという。
「前々から変更の可能性があることはわかっていた。ただ、具体的な計画があったわけじゃないし、確定事項でもなく、すべてはパフォーマンス次第だった」とローソンは明かす。
「会議の後、クリスチャンが親切にも『会議はうまくいった』とテキストメッセージで知らせてくれた。その後、電話で直接、その知らせを聞いたんだ。『レッドブル・レーシングへようこそ!』っていうあの定番の一言をね」
「電話越しにそれを聞いた時は本当に興奮したし、最高にクールな瞬間だった」
正式な発表までに数日を要したのは、セルジオ・ペレスとの契約解除手続きが必要だったためだ。ペレスは2026年までの契約を有していた。
ローソンがFaceTime(Appleのビデオ通話アプリ)を通してこの知らせを最初に伝えたのは父親だった。ローソンにとって父親は、「レーシングドライバーを目指す上での考え方や心構えにおいて大きな影響を与えた存在」だという。
「最初に伝えたのは父だったと思う。父に電話をかけて、話をしたんだ。彼は僕にとって、成長する中で大きな影響を与えてくれた存在だ。彼があんなに感情的になったのを見たのは初めてだった。感動的で、素敵な瞬間だった」とローソンは語った。
「父自身はレースをしたことがないけれど、子どもの頃から『信じて努力すれば何でもできる』と僕に言い聞かせてくれた。僕はそれをずっと胸に刻んで、今に至るまでやってきたんだ」
ローソンの両親は、息子のレーシングキャリアを支えるための資金を調達するために、ニュージーランドの自宅を売却せざるを得なかった過去がある。その大きな犠牲を深く理解しているローソンにとって、レッドブル昇格の知らせが家族にとってどれほど特別な意味を持つのかは明白であった。
ローソンは当初、父親に昇格の事実を直接伝えず、「今年の冬はイモラではなくシルバーストンでテストをする予定」とだけ話したという。RBは伝統的にイモラでシェイクダウンを行うが、レッドブルは通常、イギリスでこれを行う。
「父の反応を見たくて、こう言ったんだ。『実は、今回はイモラじゃなく、シルバーストンでテストすることになったんだよ』ってね。すると彼が『どういうことだ?』って言うから、『だからシートを獲得したんだよ』って伝えたんだ」とローソンは振り返る。
「その後が面白くてね。父はその話を受け止めるのに2分くらいかかったんだ。画面越しに信じられないという表情をしているのがわかった。それは僕も同じだったけどね」
「次第に感情がこみ上げてきたらしく、父は別の部屋にいた母を呼びに行って、家族全員にこのことを伝えた。家族がこれまで多くのものを犠牲にしてきてくれただけに、その瞬間は本当に感動的だった」