RB、終盤恒例の”技術的切り札”投入へ…ラスベガスで角田裕毅に「0.1秒」をもたらすか?
角田裕毅擁するRBは、2024年シーズンの最終3連戦の初戦ラスベガスGPで、リアサスペンションを含むレッドブルの2024年型「RB20」のリアエンドをVCARB 01に投入するようだ。
伊FORMU1A.UNOによると、このアップデートはコンマ1秒のゲインをもたらす可能性がある。また、新しいリアエンドに加えて、エンジンカバーやサイドポッドにも改良が施されるという。
レッドブルの姉妹チームは風洞を含め、F1マシンの設計・開発に必要な全てのリソースを備えているが、例年、一部の旧型コンポーネントをレッドブル・アドバンスト・テクノロジーから購入している。
前季型から流用できるものが殆どなかったため、現行のグランドエフェクトカーが導入された2021年こそ、当初から最新型のコンポーネントを購入したが、以降は予算の関係もあってシーズン終盤に最新型を導入している。
リアサスペンションやギアボックス、リア・インパクト構造、クラッチ、電気系統のハーネス全般などは「トランスファラブル・コンポーネント(TRC)」に分類されており、他チームからの購入が認められている。
昨年、レッドブルRB19のリアエンドに変更されたのは、9月中旬のシンガポールだったが、今季は11月下旬のラスベガスにもつれ込んだ。
遅れの理由は、シーズン序盤から続く相関の問題によりVCARB01の開発が停滞していたことと、RB20のリアサスペンションの実装と最適化が、RB19と比較してより複雑であるためと見られている。
シニアチームのリアエンドを手にした昨年のRB(アルファタウリ)は一気に競争力を引き上げた。シンガポールGP以降に稼いだポイントは22点、1戦平均2.75点を叩き出した。それまでの14戦で獲得したポイントは3点に過ぎなかった。
ハースやアルピーヌを相手にコンストラクターズ選手権6位争いを繰り広げるRBは、シーズン終盤に向けて両チームに追い抜きを許した。アップデートが功奏すればアドバンテージを得ることになるが、それは決して容易ではない。
RB20のリアサスペンションは前季型よりも調整が難しいとされ、ノウハウが無い状態での導入はハードルが高い。ロッカーやヒーブダンパー、スプリングなど、構造は大幅に変更されており、チームは想定以上の時間をかけてこれに取り組んできたとされる。
ラスベガスGP後には新型フロントウイングの導入も計画されているようで、RBは昨年同様、最終アブダビGPまで開発の手を緩めず、2025年シーズンに向けた改良の一部を前倒しで導入する方針を採るようだ。
とはいえ、RB20が先鞭をつけ、今季のトレンドの一つとなった上下反転のオーバーバイト型サイドポッド・インレットの導入は、2025年シーズンに先送りされるという。これは、現行のフロント・エアロダイナミクスでは期待される効果を十分に引き出せないためと見られている。