アロンソの”異常”走行、F1はパンドラの箱を開ける危険があったとラッセル、地元カフェで偶然…
F1第3戦オーストラリアGPでのフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)との一件についてジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ペナルティを与えなければパンドラの箱を開ける危険があったとの考えを示した。
アルバート・パーク・サーキットで6位争いを繰り広げていたラッセルは終盤、アロンソを追撃する最中のターン6で単独クラッシュを喫した。リフト、ブレーキング、シフトダウンを含むアロンソの「異常」な走りにより不意を突かれた事が原因だった。
スチュワードはクラッシュそのものについて判断を下さず、あくまでもアロンソのドライビングのみに注目し、F1競技規定第33条4項が禁止する「潜在的に危険」な走りであったと結論付け、ドライブスルー・ペナルティーに加えて3点のペナルティポイントを科した。
鈴鹿でのF1第4戦日本GPの開幕を翌日に控えた4月4日(木)、一件についてラッセルは「あれは明らかに奇妙な状況だった。前にも言ったけど、完全に意表を突かれた」と振り返った。
「あの時はストレートを走っていたから、ラップを通して誰もがやるようにステアリング上のスイッチをいじっていたんだ。そして顔を上げるとフェルナンドのギアボックスが視界に飛び込んできた」
「あまりにも遅く、気づいたらウォールに突っ込んでいた」
当時の両者のギャップは約0.5秒だった。テレメトリデータによると、アロンソはターン6に向けて、それまでよりも「100メートル以上」早いタイミングでアクセルを戻した。
また、通常はブレーキをかけない地点で「ごく僅か」にブレーキをかけ、それまでに一度もやった事のない地点でダウンシフトした。そしてその後、再びアップシフトしてコーナーに向けて加速すると、コーナーに進入するために再びアクセルを緩めた。
ラッセルは、今回のアロンソのようなドライビングを一旦認めれば、ジュニア・カテゴリーを含め他のドライバーが真似するようになり、収拾がつかなくなる恐れがあると考えている。
「もしあれが罰せられなかったら、残りのシーズンやジュニア・カテゴリーにとってパンドラの箱を開ける事になる」とラッセルは語る。
「ストレートでのブレーキングは許されるのか? 減速したり、ギアを変えたり、加速したり、不規則な動きをするのは許されているのか?とね」
ペナルティーを受け6位から8位に降格したアロンソはレース後「レーシングドライバーであれば誰もがやること」であるとして、スチュワードの決定に不満と異議を表明した。
ラッセルは「フェルナンドとの事は個人的には何も思っていないし、おそらく必要以上に大きな結果を招いたのだと思う」と述べ、2人の間に遺恨はないと強調した。
レース後、一件について直接話し合ったか? と問われたラッセルは「家(モナコ)に戻った後に、コーヒーショップでばったり会ったよ」と明かした。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、お返しに「ブレーキテストした?」と冗談を飛ばすとラッセルは笑いながら「さっきも言ったけど個人的には何も思ってないから」と語った。
「ヘルメットを被っている時は誰もがファイターであって、競争相手だからね。ヘルメットを脱げばお互いをリスペクトする。もちろん、その瞬間には色々思うところがあるけど、僕らは前に進めると思う」
カフェで一件について話し合ったのか?と確認の質問が飛ぶとラッセルは「いや、それはしなかった。彼は僕にコーヒーを買ってくれなかったけど、もう終わったことさ」と再び笑った。
アロンソの後輩で、メルボルンのレースウィナーであるカルロス・サインツ(フェラーリ)は一件に関わらず、ターン6の見直しが必要だと訴えた。
「これは前回のドライバーズ・ブリーフィングでも言ったことなんだけど、接触によってクルマが時速250キロのブラインドコーナーのコース側に弾き返されるのは今に始まったことじゃない」
「他のカテゴリーを含めてこのコーナーでは数回に渡って事故があった。あまり良いものじゃない」