ノリス「笑いのネタにすべきじゃなかったかも…」職人に謝罪、フェルスタッペン優勝杯破損で
F1ハンガリーGPで起きた優勝トロフィー破損事件についてランド・ノリス(マクラーレン)は、職人が多大な時間と労力をかけて作り上げたハンガリーの文化を体現するものであり、笑いのネタにするべきではなかったかもしれない等として、制作者とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に謝罪した。
第12戦ハンガリーGPで2戦連続となる2位表彰台に上がったノリスはシャンパンシャワーに際し、自身のボトルを表彰台に叩き落してコルクを開けたところ、その衝撃でフェルスタッペンの優勝トロフィーが床に落下。台座が取れるなど破損した。
ノリスとフェルスタッペンはすぐにこの事故に気付き互いに笑いを浮かべた。ノリスはその後の会見で「マックスが端っこに置いたからじゃない? 」「僕のせいじゃない。あれは彼のせいだ!」等と冗談を飛ばしていたが、第13戦ベルギーGPの開幕に先立ち行われた会見では反省の色を深めた。
「その件について質問されるだろうとは思っていたよ」とノリスはため息をついた。
「あれについては心から謝罪したい。そんなことをするつもりはなかったんだ。ハンガリー人達にとってどれほどの意味があるかは分かっているし、あれは彼らの文化の一部だ」
「もちろん僕は自分の時間を楽しみたかっただけで、意図したものじゃなかった」
200年近い歴史を誇るハンガリーの老舗磁器メーカー「ヘレンド」の職人30名が半年がかりで作り上げたこの特注品は、装飾的な造形と絵柄がアール・ヌーヴォーやエキゾチシズムといった古典を感じさせる一方、白磁がモダンな印象を与えるもので、1個あたり4万ユーロ(約631万円)の費用がかかったとされる。
「マックスには謝罪した。あの件に関して幾つか冗談を言ったけど、ネタにするべきじゃなかったのかもしれない」とノリスは続ける。
「もし彼(フェルスタッペン)が僕のトロフィーに同じことをしたら、腹が立ったと思うし、あれを作るために時間と労力を費やした人たちにも謝りたい。あんな事するつもりはなかったんだ。これからはもっと気をつける」
ただ、表彰台に叩き落とすという慣れ親しんだ自身のスタイルでこれからもシャンパンシャワーを楽しむつもりだとノリスは言う。
「変えるべき理由はないと思う。とにかく、もう少し注意を払うつもりだ。トロフィーを脇に置いた後にね」とノリスは語った。
壊れたトロフィーについて窯元ヘレンドのアッティラ・シモンCEOは永久保証がある等として、同じものを再制作して交換する方針を示しているが、トロフィーは原則としてドライバーではなくチームの所有物であるため、フェルスタッペンの自宅に飾られる事はない。