角田裕毅とローソンの活躍を引き合いにアルファタウリF1存続の意義を強調するマルコとベルガー
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコと、元ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)のトップ、ゲルハルト・ベルガーは、角田裕毅とリアム・ローソンの活躍に触れ、スクーデリア・アルファタウリのF1存続の意義を強調した。
投資に対するリターンが低く、またシニアチームのレッドブルとのシナジー効果が十分に発揮できていないとの理由で、アルファタウリは一時、第三者への売却が検討された。これは創業者ディートリッヒ・マテシッツの死去に伴い、オリバー・ミンツラフが企業プロジェクト・新規投資部門CEOに就任した事を受けての対応だった。
売却話は流れたものの、アルファタウリは2023年の開幕8戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位に甘んじており、経営陣の求める水準を達成できていない。
マルコは独「F1 Insider」とのインタビューの中で「我々はアルファタウリの現在の成績に満足していないし、彼ら自身も満足していない」としながらも、「彼らの主な仕事は、若い才能を次のステップに進めるように育成することだ」と述べ、依然として伊ファエンツァのチームには若手インキュベータとしての役割が求められていると説明した。
「これは過去にも上手く機能してきたし、角田裕毅の例を見ても、まだ僅かなポイントしか獲得していないにもかかわらず、今もなお有効だという事が分かる」
開幕8戦というスパンで見ると角田裕毅は、F1における過去3年の中で最も低いポイントに甘んじておりドライバーズ・ランキング17位と低迷しているが、前戦カナダを除けば全てのレースで10位入賞を争うなど、大混戦のミッドフィールドにおいて頭一つ飛び抜けた一貫性を示し続けている。
マルコは「アルファタウリが今年、改善できる事を願っている」と続ける。
「そして将来的にはレッドブル・レーシングとの協力関係を拡大し、より多くのリソースを効率的に使用できるようにする予定だ。無論、レギュレーションで許可されている範囲内でね。そのためにチームの一部はイギリスに行く予定だ」
レッドブル・ジュニア・チームという若手育成プログラムが今も順調に機能しているのはリアム・ローソンの活躍からも見て取れる。TEAM MUGENから今季スーパーフォーミュラに参戦するローソンは開幕5戦を終えて2勝を挙げランキング2位と、かつてピエール・ガスリーが辿った成功街道を歩みつつある。
トロ・ロッソと呼ばれていた時代にファエンツァのチームの共同オーナーでもあった元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは21歳のニュージーランド人ドライバーについて「高い評価を受ける日本のスーパーフォーミュラで素晴らしい仕事をしている」と指摘する。
「私が彼に初めて注目したのは2年前、レッドブルがスポンサーとなったフェラーリでDTMに参戦した時の事だった。彼は当時のチームメイト、現在ウィリアムズからF1に参戦しているアレックス・アルボンよりも速かった」
「彼はレッドブルのドライバープールの中から次にF1でその姿を見ることになるドライバーだろう。ただしジュニアチームがなければそれは難しい」