フェルスタッペン「何も悪い事はしていない」レッドブルの警告聞かず懲罰のリスク冒してグランドスラム
6月4日(日)のF1第8戦スペインGPで達成されたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のキャリア通算3回目のグランドスラム(ポールポジション、全周リード、ファステストラップ、優勝)は、チームからの警告を無視する事なしには実現しなかった。
圧倒リードを背景に今季5回目のトップチェッカーを目指すフェルスタッペンは終盤に向けて、ターン10とターン5で計3回のトラックリミット違反を犯して黒白旗を受けた。
これはあと1回の違反でペナルティが科される事を意味するが、フェルスタッペンはレースエンジニアを務めるジャンピエロ・ランビアーゼ(GP)からの警告を無視し、ラスト6周目に1分16秒330のファステストラップを記録。僚友セルジオ・ペレスからボーナスの1点を奪うとともに、グランドスラムを達成した。
ヘルメットを脱いだフェルスタッペンは「3回ほど白線を越えてしまったけど、時々あることなんだ」と振り返った。
「コースによってはもっと容易に越えてしまうこともあるんだけど、今日は硬めのコンパウンドを履いていた時に白線内に留めるのに少し苦労しちゃってね」
「まぁ、白線を越えないように走ったし、少し速く走っただけで、何も悪い事はしちゃいないよ」
GPからの警告を聞き入れなかった事については「彼らは僕がどれだけのペースを持っているか知らないんだ」と語り、ホワイトラインを越えずに何処までラップタイムを上げられるかは自身のみが知るところなのだと指摘した。
「もう笑って話せる話だと思うし、実際レース後にヘルムート(マルコ)と笑いながらこの話をしたから、彼らもきっと喜んでくれていると思うよ」とフェルスタッペンは付け加えた。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ペナルティのリスクを懸念して忠告するGPと、これを無視してわが道を行くフェルスタッペンとの関係を「まるで老夫婦がどのテレビチャンネルを見るべきかを討論しているようなものだ」と表現した。
「マックスは完全にコントロールしていたし、リスクについても承知していた。その上で楽々とファステストラップやってのけたんだ」
苦戦したというハードタイヤを履いた第2スティントについてフェルスタッペンは「これまでの人生の中で最も楽しいスティントじゃなかった事は確かだ」と述べ、グリップ不足に苦しみ「かなり滑っていた」として、「楽しくないし、ドライブするのが大変だった」と語った。
フェルスタッペンは昨年、ソフトをスタートタイヤに選んで優勝を飾ったが、今年チョイスしたのはミディアムタイヤだった。
ミディアムを選んだ理由についてフェルスタッペンは「僕的にはミディアムとソフトはかなり似通った印象だったんだ。ミディアムのライフは多分、ソフトよりも少し良いだろうと思ってミディアムでスタートする事にしたんだよ」と説明した。
6月4日(日)にカタロニア・サーキットで行われた2023年F1第8戦スペインGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がグランドスラムを達成して通算40勝目を飾り、2位にルイス・ハミルトン、3位にジョージ・ラッセルとメルセデス勢がダブル表彰台に上がった。
ジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台とする次戦カナダGPは6月17日のフリー走行1で幕を開ける。