F1王者ネルソン・ピケ、ハミルトン差別発言で1億円超の罰金刑
ルイス・ハミルトン(メルセデス)に対する人種差別的、同性愛嫌悪的発言に関してブラジル出身の3度のF1ワールドチャンピオン、ネルソン・ピケは3月24日(金)、500万ブラジル・レアル、日本円にして約1億3,095万円の「道徳的損害賠償」の支払いをブラジルの裁判所に命じられた。
ピケは昨年末、娘ケリー・ピケと交際中のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とハミルトンとの接触事故に関して問われた際、2度に渡って差別的発言を口にした。昨年6月にブラジル名誉市民権を授与されたハミルトンは、F1グリッドに着く唯一の黒人ドライバーだ。
F1や国際自動車連盟(FIA)、メルセデスを含む複数のF1チームやドライバーが差別発言に対する断固とした姿勢を表明するなど一件は非難の的となり、ハミルトン本人も「旧態依然とした考え方だ」等として、行動を起こすべき時が来たと訴えた。
ピケは「考えが足りず、弁解の余地はない」とする一方、差別的な意図を否定したが、「National LGBT+ Alliance」を含む4つの人権団体が1000万ブラジル・レアルを支払うよう求めて提訴した。
判事のペドロ・マトス・デ・アルーダは判決の中で「デリカシーの欠如は現代ブラジルの人種差別の特徴の一つ」であるとして、ピケが用いたネギーニョ(小さな黒人を意味する人種差別的な言葉)は「好意のあるニックネームではない」と等として罰金刑を科す判決を下した。
賠償額については「社会として、人種差別や同性愛嫌悪という悪質な行為からいつの日か解放されるよう、民事責任の賠償というだけでなく懲罰的側面も評価すべきである」との観点から決定したと説明した。
なおピケは、この判決を不服として控訴する権利を有する。