サウジアラビア、2兆5千億円超でF1買収を検討との報道
サウジアラビアの公的投資基金「PIF」が200億ドル超、日本円にして約2兆5,900億円を投じてリバティ・メディアからF1を買収する事を検討していたとの報道が舞い込んできた。
F1は2017年以降、米国のメディア関連企業、リバティ・メディアが所有している。旧オーナーの投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズからの買収金額は44億ドルだった。
米国の金融経済メディア「ブルームバーグ」は1月20日(金)、関係者の話として、PIFが買収を打診したもののリバティ・メディアは興味を示さず、昨年の早い段階で交渉が挫折したと報じた。
ただしPIFは依然としてスポーツ投資ポートフォリオにF1を追加する事を検討しており、リバティ・メディアが心変わりして売却を決めた場合には入札を行う用意があるという。
F1に対するPIFの評価額は負債を含めて200億ドル以上とされており、2017年の買収金額の約4.5倍にあたるが、F1の時価総額は過去4年間で2倍以上に増え、約152億ドルに達している。
高まるF1人気を背景に、2021年にはストリーミングサービスの大手、NetflixがF1買収を検討する用意がある事を明らかにした。
英国プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドFCを買収し、ボクシング、ゴルフ、F1などの高い人気を誇るイベントを開催するなど、サウジアラビアは近年、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める政府系ファンド、PIFを通してスポーツに多額の投資を行ってきた。
昨年末にはサウジアラビアのサッカークラブ、アル・ナスルがポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドと年間約2億ユーロ(約281億円)とも噂される巨額の契約を結んだ事が話題となった。
サウジアラビアのこうした取り組みについては、長年に渡って問題視されてきた国内の人権問題から目をそらそうとする試みだとして「スポーツ・ウォッシング」との人権団体からの批判が絶えない。
2021年にF1サウジアラビアGPが初めて開催され、カタールGPが10年契約を結ぶなど、中東は近年のF1界にとっても重要な成長エリアとなっており、2023年に中東で開催されるグランプリレースは4つに及ぶ。
またサウジの国有石油会社サウジアラムコは2020年にF1とグローバルパートナー契約を結ぶと、昨年はアストンマーチンF1チームと戦略的パートナーシップを締結した。
サウジアラビアはF1チームの誘致にも関心を示しており、フォーミュラEやエクストリームEで活躍するマクラーレンと先述のアストンマーチンがターゲットになっている。