「馬鹿げてる」とマルコ、70億円超を投じたレッドブルF1の新風洞
5,000万ユーロ、日本円にして約73億円を投じて建設中の新たな風洞施設についてレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「馬鹿げている」と自虐的だ。
2004年のジャガー買収以来、レッドブルはミルトンキーンズの本拠から車で30分ほどの距離のベッドフォードにある風洞施設を使用している。元はアロウズ・グランプリが使用していたものだ。
これは第二次世界大戦中に航空機開発に使用された歴史あるもので、老朽化に加えて建物の大きさ的にも温度管理が難しいものの、取り壊して再利用することができないという制約がある。
Auto Motor und Sportとのインタビューの中でマルコは「我々の風洞施設の問題は、戦後に国防省によって設置されたもので、指定建造物であるため取り壊すことができないという点にある」と説明した。
「また、狂ったように長く断熱性能が低いため、暖まるまで時間がかかる。外気温が低いと更に多くの時間が必要だ」
そこでレッドブルは生前にディートリッヒ・マテシッツの承認を経て、新たな風洞の建設に着手した。これはミルトンキーンズのファクトリーの一角に設けられるようだ。
ただF1は、2030年までに風洞の使用を完全に禁止する方向で議論を進めている。つまり多額の投資にも関わらず、レッドブルの新たな風洞は5年程度しか使われない可能性がある。
マルコは「開発のトレンドはCFDシミュレーションに移行しているというのに。馬鹿げている。これで5000万(ユーロ)だ」と語る。
「建物そのものは既に存在していて、風洞はそこに設置されるが、すべての準備が整うまでにはおそらくあと2〜3シーズンはかかるだろう」
なおレッドブルの最高技術責任者を務めるエイドリアン・ニューウェイは風洞からCFDへの移行を支持している。ニューウェイが手掛けた「アストンマーティン・ヴァルキリー」は風洞を一切使用せずに開発された。