ベッテル、伊大統領に”屈服”したとしてF1を非難…レース前のフライバイ巡り環境危機意識から
セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)はF1イタリアGPの決勝を前にフライバイ(フライパス)が行われた事を受け、同国のセルジョ・マッタレッラ大統領の要求に屈したとしてF1を非難した。
100周年を迎えた伝統のモンツァでの53周のレースに先立ち行われたセレモニーでは、盲目のテノール歌手、アンドレア・ボチェッリがイタリア国歌を歌い上げる中、ホームストレート上空を9機の航空機が駆け抜けた。
RaceFansによるとベッテルは、F1が掲げる2030年までの二酸化炭素排出量実質ゼロ目標に触れた上で、フライバイはイタリア大統領の要請を受けての事だと聞いているとして「F1は屈した」「フライバイは無くすという約束だった」「自らが発した言葉を守るべきだ」と語った。
F1は2022年シーズンに先立ち各グランプリのプロモーターに対し、F1が推進するカーボンニュートラルに向けた二酸化炭素排出削減策の一環として、軍用機によるフライバイを原則禁止する通達を出したとされる。
ベッテルはマッタレッラ大統領(80歳)について「彼は100歳近いから、こういったエゴのようなものから自らを解き放つのは難しいのかもしれない」と付け加えた。
フライバイ後のレース前グリッドでは、ドライバー達を激励するマッタレッラ大統領の姿があり、他のドライバー達に続いて手を差し出されたベッテルは握手をして軽く会釈をした後、その場を去って行った。
4度のF1ワールドチャンピオンは社会・環境問題に高い意識を持っており、今季末限りでの引退を決めた理由の1つに、気候変動及びその一因に対するF1の役割・立場についての懸念があった事を認めている。
ベッテルは近年、世界を転戦するF1が膨大な量の二酸化炭素を排出する航空機にその移動手段を頼っている事に度々、抵抗感を示してきた。
Sky Sportsによると2021年のバーレーンGPでベッテルは、国営航空会社ガルフ・エアによるフライバイ計画について、F1のステファノ・ドメニカリCEOに「燃料を浪費している」と不満を訴えたとされる。
ベッテルからの訴えを聞いたF1は、スポンサーであるガルフ・エアの元を訪れ対応策を検討。その結果、本番のフライバイではバイオ燃料が使われる事になったと伝えられている。