「戦うな」はチームオーダーに非ず、とレッドブル…俯瞰的視野を持つ成熟ペレスの対応を称賛
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、6月12日のF1第8戦アゼルバイジャンGPでセルジオ・ペレスに向けられた「戦うな」とのチーム無線は”チームオーダー”ではないと主張すると共に、俯瞰的視野を持つベテランの対応を称賛した。
前戦モナコに続いて2戦連続で僚友マックス・フェルスタッペンを上回るグリッドを手にしたペレスは、スタート直後のターン1でシャルル・ルクレール(フェラーリ)をパス。バクー2連覇に向け、早々に首位を奪った。
その後、カルロス・サインツ(フェラーリ)が油圧関連のトラブルでマシンを停め、バーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入された。これを好機とみたルクレールはピットイン。ステイアウトを選択したレッドブルは1-2体制を築いた。
VSCが解除されるとペレスはペースが上がらずフェルスタッペンの接近を許し、15周目のターン1でリードを奪われた。この際ペレスに対してはエンジニアから、ディフェンスするなとの指示が出ていたが、ホーナーはこれを”チームオーダー”とは考えていない。
RaceFansによるとレッドブルの指揮官は「厳密に言えば今日のあれはチームオーダーではなかった」と主張した。グリーンフラッグ後のペレスのペースは概ね、フェルスタッペンに対して1周あたりコンマ3秒近く遅かった。
「マックスにはペース面でかなりのアドバンテージがあった。チェコはあの時、リアタイヤのかなり酷いグレイニングに苦しんでいた」
「だから、お互いが壁にぶつかってレースを終える事がないように、仮に1台の方が速ければ、もう1台は譲歩して、チームのために最高の結果を出すことに集中しよう、という事なんだ」
ホーナーの脳裏には、同士討ちによって計22ポイントもの大量ポイントを失う最悪の結末を迎えた2018年のアゼルバイジャンGPの記憶が鮮明に残っていた。
フェルスタッペンとダニエル・リカルドはレース序盤から激しいチームメイトバトルを演じ、時折タイヤ同士が接触するなど、際どいバトルを展開。極めつけにはターン1で同士討ちを喫した。
ホーナーは「我々にとって2018年はそれほど遠い過去じゃないんだ」と述べ、目指すべきは不要なリスクを廃して、チームとしてできるだけ多くのポイントを重ねる事で、コンストラクターズ選手権での対フェラーリに勝利する事だと強調した。
また「チェコは成熟した男だ」と述べ、状況をすぐさま理解してフェルスタッペンに道を譲ったペレスの対応を称賛した。
「彼は物事を俯瞰的に描いている。チャンピオンシップが長い戦いだという事を理解しているんだ。モナコや昨日の予選を経て、彼は今、キャリアの中で最高潮にある」
「後知恵ではあるが、彼が直面したリアのデグラデーションは、予選に重点を置きすぎたが故のものかもしれない。そのあたりは見直す必要がある」
6月12日(日)にバクー市街地コースで行われた2022年F1第8戦アゼルバイジャングランプリ決勝レースでは、3番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペンが今季5勝目を飾った。2位にセルジオ・ペレスが続き、レッドブルが1-2を達成。3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が滑り込んだ。
ジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台とする次戦カナダGPは6月18日のフリー走行1で幕を開ける。