電撃ハースF1復帰、僕なら断ってたとグロージャン…旧友マグヌッセンに心からのエール
かつてのチームメイトの古巣復帰を喜ぶロマン・グロージャンは、仮にニキータ・マゼピンの後任としてF1に復帰しないかとハースからオファーがあったとしても断っていただろうと語った。
ウクライナ侵攻を受けハースはすぐさま対処に動いた。チームはロシア出身のマゼピンとその父ドミトリーが所有するウラルカリ社との冠スポンサー契約を即時解除した後、その後任として勝手知ったるマグヌッセンに白羽の矢を立てた。
ニコ・ヒュルケンベルグやアントニオ・ジョビナッツィらの名が候補として上がっていたが、ギュンター・シュタイナー代表が電話を掛けたのはマグヌッセンだけだった。
一度は放出したドライバーを再び招き入れるとは誰もが予想だにせず、まさに青天の霹靂と呼ぶに相応しいサプライズ人事だった。マグヌッセンが引き受けたのもまた驚きだった。
旧友の復帰を受けグロージャンは「色んな人から戻るかどうかって聞かれたけど、僕だったら戻らなかっただろうと思う」と述べ、仮にシュタイナーとジーン・ハースから戻ってきれくれと声がかかっても、そのチャンスに飛びつく事はなかったと断言した。
「僕は今アメリカでインディカーに参戦していて本当にハッピーなんだ。毎回優勝を狙ってレースができるのが本当に楽しくてね」
「F1でのキャリアは本当に良い思い出だけど、今の僕はもう次のステップに進み、レースに勝ち、チャンピオンになる事を目指しているんだ。だから連絡があっても積極的には応じなかっただろうね」
2016年から2020年までハースに在籍し、バーレーンでの炎上大クラッシュを最後にF1を離れたグロージャンは、新天地として米国最高峰のオープン・ホイールを選んだ。
2021年にデイル・コイン・レーシングからインディカー・シリーズに参戦したグロージャンは、ルーキーながらもずば抜けた成績を残し、2022年に強豪アンドレッティ・オートスポーツのシートを掴み取った。
グロージャンは当初、チームメイトのマグヌッセンとは馬が合わず、幾度となく衝突しあっていたが、ある時を堺に良い関係を築いた。
「ケビンとは最初から上手くやれていたわけじゃなく、レースに対する考え方も違っていたし、何度かコース上でやりあった事もあったけど、ある時お互いが考えている事について話し合って以降、彼と本当に楽しく仕事ができるようになったんだ」
「僕らのドライビングスタイルは全く違っていた。僕は安定したハンドリングを好むんだけど、彼はアンダーステアが好きなドライバーでね。その時々のクルマの特性によって彼の方が速い時もあれば僕の方が速い時もあった」
「ケビンの事を思うと(復帰のニュースは)本当に嬉しい。本当に良いヤツだからね」
マゼピンという不確かな指標に代わり、ミック・シューマッハは経験と実績を持つベテランドライバーを新たなチームメイトに迎えた。
「ミック・シューマッハにとっても良い事だと思う。今度のチームメイトはF1で多くの経験を積んだとても速いドライバーだからね」とグロージャンは語る。
「ケビンの強みは、どんなマシンでもそれなりに走らせる事ができるところにある。完璧なクルマじゃなくても速く走ってしまうんだ。扱いが上手いんだよ」
「ハースのクルマには競争力がないんじゃないかと心配しているけど、それが杞憂に終わる事を願ってる。チームが彼に競争力あるクルマを用意してくれる事を祈っているし、僕が間違っている事を願う。ケビンには上位争いをして欲しい」