Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
トランスファラブル・コンポーネント(TRC)
トランスファラブル・コンポーネント(英:transferrable components、略:TRC)とは、F1レギュレーションで定義された他チーム(姉妹チームやカスタマーチームなど)に譲渡可能なパーツの事を指す。
F1は2022年より、パワーユニットを除くF1マシンの全コンポーネントを4種類に分類し、その各々に製造・管理に関する別個のルールを設けた。TRCは以前で言うところの「非リスティド・パーツ」で、TRCの他には以下の3種類がある。
- リスティド・チーム・コンポーネント(LTC)
- スタンダード・サプライ・コンポーネント(SSC)
- オープンソース・コンポーネント(OSC)
該当するパーツであれば無制限に供給して良い、というわけではない。供給が許されるのは、供給側が当該年もしくはその前年に使用したものに限られる。つまり2年以上前のチャンピオンシップで使用したパーツを供給する事はできない。
また同一スペックでなければならない。例えばレッドブルがアルファタウリ用に特注のTRCを設計・製造するような事は認められない。ただし供給される側は、TRCのサブコンポーネントを交換したり変更する事ができる。
TRCに分類されるコンポーネントは以下の通り。
- リア・インパクト構造
- ギアボックス・キャリア
- ギアボックス・カセット
- クラッチ
- クラッチ・アクチュエーション・システム
- クラッチ・シャフト
- ギアボックス内部及びオイルシステムやリバースギアなどの補助部品
- インボード・フロント・サスペンション
- フロント・サスペンション・メンバー
- フロント・アップライト・アッセンブリー
- フロント・アクスル(ホイールスペーサーとの接触面の内側)及びベアリング
- インボード・リア・サスペンション
- リア・サスペンション・メンバー
- リア・アップライト・アッセンブリー(アクスル、ベアリング、ナット、リテンションシステムを除く)
- リア・アクスル(ホイールスペーサーとの接触面の内側)及びベアリング
- パワステ
- OSC、SSC、LTCに該当しないその他燃料系パーツ
- 油圧ポンプ及びアキュムレータ
- 油圧マニホールド、センサー&コントロールバルブ
- 油圧ポンプ、油圧マニホールド、ギアボックスまたはエンジン・アクチュエーター間の配管
- オイル及びクーラントシステム内の二次熱交換器
- ギアボックス及びサバイバルセルへのPU取り付け部
- タービン及びウェイストゲート出口を除くエキゾースト・システム
- 電気系統のハーネス全般
フェラーリと密接なテクニカル・パートナーシップを締結するハースはTRCを最大限に利用する事で空力開発にリソースを割く方針を貫いてきた。アルファタウリもシニアチームのレッドブルからTRCの供給を受ける。
他方、唯我独尊の”ノーBチーム”のアルピーヌには殆ど関係のない話かもしれない。