物議のF1サウジ接触事故、ハミルトンが減速するフェルスタッペンを追い抜かずに躊躇した理由
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は5日のF1サウジアラビアGP決勝を終えて「限界を超えている」と述べ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のドライビングを批判した。
初開催のジェッダ市街地コースでの50周のレースでフェルスタッペンは、コース外に出て不当なアドバンテージを得たと複数回に渡って判断され、レース終盤にはそのアドバンテージを返せとのFIAレースディレクターを務めるマイケル・マシからの通告に従い、ハミルトンを先行させようとしたが接触事故に至った。
幸いにも両者はレースを続行し、その後フェルスタッペンは再びライバルに前を譲り、ハミルトンがトップチェッカーを受けた。スチュワードはレース後に審議を行い、フェルスタッペンに非があるとして10秒ペナルティを科した。
激動の1日を終えたハミルトンは「平静をキープする必要があった。本当に難しかった」とレースを振り返った。
「僕は人生を通じて多くのドライバーとレースをしてきた。28年間で色んなキャラクターの持ち主と出会ってきたけど、トップに立つ人の中には…そう、限界を超えている人がたまにいるんだ。ルールの範疇の外にいるのか、ルールを意識しないのか」
フェルスタッペンが”限界を超えたドライバー”に含まれるのかと問われたハミルトンは次のように答えた。
「確かに彼は限界を超えている。これまで何度も僕は彼とのクラッシュを避けてきた。でも(自分が避ける側に立つ事は)気にしちゃいない。だってそうする事で戦い続けられるわけだからね」
「でも彼にとっては、お互いが完走できるかどうかはどうでも良い事なんだ。僕は揃ってフィニッシュする事が必要だと思ってるのにね。この後は一体どうなることやら、興味深いよ」
リアに衝突した件に関してハミルトンは事故直後、自身に対してフェルスタッペンが「ブレーキテスト」をしたと怒りをあらわにしていた。
「どうして突然、激しくブレーキを踏んだのかよく分からなかった」とハミルトンは説明した。
「僕は彼の背後に突っ込み、その後、彼は前に留まり続けた。だから何が起きているのか全く理解できなかったんだ」
「その後で、彼が僕らを前に行かせるってメッセージを受け取ったんだ。だから少し混乱したよ」
ハミルトンはフェルスタッペンが減速した際、追い抜くことを躊躇する素振りを見せた。あれはどういう事だったのか?
ハミルトンはあの時点でフェルスタッペンがポジションを返そうとしているという事実を知らなかったと説明した上で、ライバルがDRS検知ポイントの直前で先行させる事で、直後のDSRゾーンでオーバーテイクを狙っていると考えたからだと説明した。
「まず第一に、情報を受け取っておらず、僕にとって状況が明確じゃなかった事が挙げられる」
「そしてその後、彼が僕を先行させようとしていた事が明らかになった。おそらく、そうするように言われたためだと思うけど、あれはDRSゾーンの手前だった」
「つまり、彼はDRSを得て最終コーナーを通過し、DRSを使ってターン1で僕を追い抜く事になる。それが彼の戦術だった」
「でも結局のところ最悪だったのは、あの法外に激しいブレーキングだ。あのせいでぶつかってしまった。そこが危険だったんだ」