フェルスタッペン、8割支配も為す術なく”カモ”られ2位「遅すぎたという事に尽きる」とレッドブル・ホンダの戦略判断を擁護
5月9日(日)に行われたF1第4戦スペインGPでの逆転劇は、2019年のF1ハンガリーGPを彷彿とさせるものだった。1周目に2番手に後退したルイス・ハミルトン(メルセデス)は2ストップ戦略を駆使して1ストッパーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を攻略。バルセロナでの5連覇を達成した。
カタロニア・サーキットでの66周のレースの内、フェルスタッペンのリードラップは54周と、率にして81%に上る支配的な数字であったが、これを勝利に変える事は出来なかった。フェルスタッペンは「やれる事は全てやり切った」と述べ、ハミルトンの勝利を妨げるためにできる事は何もなかったと主張した。
2番グリッドからレッドブルでの通算100戦目に挑んだフェルスタッペンは、オープニングラップのターン1でハミルトンを交わしてトップに立つと、トラックポジション重視の1ストップ戦略で防衛戦を展開した。
これに対してメルセデス陣営は、フレッシュタイヤのアドバンテージを利用してオーバーテイクを狙う戦略を採り、41周目にハミルトンを2度目のピットストップに呼んだ。摩耗とデグラデーションによりペースダウンするフェルスタッペンに対し、通算100回目のポールポジションからの優勝狙う7度の王者は残り6周で難なくフェルスタッペンをパス。トップチェッカーを受けた。
1時間33分に及ぶ激戦を終えたフェルスタッペンは「遅すぎたという事に尽きる」とレースを総括した。曰く、この日のRB16BにはメルセデスW12に対抗できるだけの絶対的なレースペースが欠けていたという。
「スタート直後のターン1でリードを奪ったけど、メルセデスに対抗するには少しペースが足らなかった」とフェルスタッペン。
「もちろん勝ちたかったけど、できる限りの事を全てをやったし、チャンスを最大限に活かせたから、それほどガッカリしてるわけじゃない」
「ある意味、結果は見えていた。第一スティント終盤で既に、ソフトを履くルイスは僕より速かった。そしてミディアムを履くと彼は明らかにペースを上げて1秒以内に接近してきた」
「これ以上できる事は何もなかったと思う。彼らが2回目のピットストップに入った時、これはもうダメだと思った。僕は既にタイヤに苦しんでいたからね。その後は毎周に渡って彼がどんどん近づいてくるのを感じていた。ちょっとした良いカモ状態だった」
タイヤに苦しんでいたのであれば、なぜレッドブル・ホンダ陣営はメルセデスのように2回目のピットストップを行わなかったのだろうか?
フェルスタッペンはこの疑問について、例えシルバーアローの戦略を真似ても結果は変わらなかったはずだと主張。チームの判断を養護した。
「もしメルセデスに先行して2回目のピットストップを行っていたとしても、(その場合、1ストップを採用したと思われる)ルイスに追いつく事はできなかったと思う。ミディアムを履いた僕らのペースは彼らに対して少し足らなかったはずだ」とフェルスタッペン。
「自分がどの位速く走れるのかという事や、マシンの限界についてはよく分かっている」
シーズン4戦を経て、プレシーズンテストでリアエンドに苦悩していたメルセデスはもう存在せず、少なくともレースペースという点でダブルタイトル8連覇を狙うブラックリーのチームがレッドブル・ホンダを逆転した事は疑いない状況に見える。
チャンピオン獲得に向けてファステストラップによるボーナス1点を加算したものの、ランキング首位を走るハミルトンとの差は14点に拡大した。フェルスタッペンは2位で満足している場合ではないと気を引き締める。
「もちろん2位は良い結果だと思うけど、常にもっと上を目指すべきだし、2位で満足する事は許されない」とフェルスタッペンは語る。
「今年はこれまでのところ、少しばかり同じような展開が続いている気がする。予選ではかなり高い競争力があるのに、レースでは少し苦戦しているような…」
「単純に、僕らにはもっと速いマシンが必要だ。そうすればこういう状況に陥る必要はないんだから。僕らが集中して取り組まなきゃならない点はそこだよ」
順位 | ドライバー | チーム | 選手権点 |
---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 94 |
2 | フェルスタッペン | レッドブル ホンダ | 80 |
3 | ボッタス | メルセデス | 47 |
4 | ノリス | マクラーレン メルセデス | 41 |
5 | ルクレール | フェラーリ | 40 |