飢えるセルジオ・ペレス、レッドブル・ホンダ移籍は「千載一遇のチャンス」対フェルスタッペンに強い意気込み
成功に飢えるセルジオ・ペレスは、レッドブル・ホンダへの移籍は千載一遇のチャンスであり、グリッド最速の一人とみなされているマックス・フェルスタッペンとの競争と共闘を心の底から楽しみにしていると言う。
ペレスはレーシングポイント(現アストンマーチン)を財政破綻から救い出した主要人物の一人であったが、チームがセバスチャン・ベッテルと契約した事で突如F1シート喪失の危機に立たされた。
しかしながら運命の歯車とは面白いもので、ペレスは中団チームの席を失った代わりにトップチームの一角である強豪レッドブル・ホンダのシートを掴み取る事となり、7年ぶりに異なるチームへと移籍。キャリアを通じて初めて、コンスタントに優勝を争えるだけの競争力あるマシンを手にした。
チームメイトとなるのは次世代のF1ワールドチャンピオン筆頭候補に数えられるフェルスタッペンだ。23歳のオランダ人ドライバーは兄貴分のダニエル・リカルドがチームを去って以降、チームメイトに予選・決勝ともに負け無しの支配的ゲームを築き上げている。
ノーリスクのチャンスは存在しない。ペレスにとっては次のステージに自身を引き上げる好機である一方、この強敵相手に惨敗することにでもなれば、これまで積み重ねてきたキャリアを失いかねないわけだが、当人はこの大きな挑戦を心の底から楽しみにしている。
ペレスはポッドキャスト”Beyond the Grid”の中で「レッドブルに移籍すると決まった時点で、マックスという強大なドライバーを相手にする事は分かっていた」と語り、次のように続けた。
「彼は非常に完成度の高いドライバーだ。正直なところ、(実際に対峙しても)何も驚く部分はなかった。ただ、あらゆる面で非常に手強いドライバーだって事を再確認しただけでね。僕にとっては大きな挑戦だ」
「でもそれは僕自身が望んでいた事だ。このスポーツにおけるベストドライバーを相手に自分の力を見極めてみたいんだ。だからこれは僕にとって素晴らしいチャンスだし、とても楽しみにしている」
「キャリアにおいて失うものは何もないと思ってる。僕は幸運にもファンタスティックなキャリアを歩んでこれた。次に何が来ようが関係ない」
「彼が僕の事を心配する理由も、僕が彼の事を心配する理由もない。僕らは可能な限り最高の仕事をするためにここにいるわけだから」
ペレスは参戦10シーズン目にして遂に念願の初優勝を飾った。昨年のサクヒールGPでのポディウムセレモニーの後、なかなか表彰台を後にしようとしなかったペレスの姿は印象的だった。そして今、2勝目どころか3勝・4勝と勝ち星を積み重ねるチャンスを手にした。
「凄く貪欲な気分だ。成功に飢えているし、人生に一度のチャンスだと思っているから、それを最大限に生かしたいと思ってる」とペレスは語った。
ただし、新シーズンに向けては未知数の部分が多い。ペレスは慎重だ。
「ただのテストなんだから真に受けちゃならない。他の人が何をしているのかも分からないわけだからね。ただ、やるべき事がたくさんあるのは分かってる」
「マシンの感触は良いし、乗り込む度にどんどん改善している。クルマへの理解を深めてただひたすらに仕事に取り組むのは良いことだ」
「とは言え、まだまだやるべき事や、今後数ヶ月以内のレースで投入できるよう開発を進めるべき箇所がたくさんある」
「僕はずっと、重要なのはバーレーンのグリッドじゃなく、アブダビをどの位置で終えるかだと言ってきた」
ペレスは、自身がレッドブルRB16Bを意のままに操れるようになるには5レースは必要だと主張しているが、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、予選はさておき、少なくともレースに関しては「それほど長く掛かる事はないだろう」と述べている。
レッドブルは3日間に渡るテストで一貫して印象的なパフォーマンスを示し、最終的に総合的トップタイムを記録した。信頼性トラブルを含めて数々の課題を抱えたメルセデスのルイス・ハミルトンは、レッドブル・ホンダを例年以上に警戒している。
「レッドブルは本当に素晴らしい走りをしていた」とハミルトン。
「どちらのドライバーも手強いし、今年の彼らは、去年とは”別の獣”になると思う。強力なラインアップを備えた上にマシンは本当に良い」