F1、ホンダの2026年のF1復帰を期待…新規約策定において自動車メーカーに寄り添う意向
F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、2026年に導入される新しいパワーユニット・レギュレーションがホンダにとって魅力的なものになる事を願うと共に、自身がかつて陣頭指揮を執った日本の自動車メーカーの再参戦を楽観視している。
2050年までのカーボンニュートラルの実現達成のために、F1部門が持つノウハウ、インフラ、人材を再配置するという名目で、ホンダは2021年末を以てレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリへのパワーユニット供給を終了とし、F1から撤退する。
これは現在のF1が自動車メーカーにとって参戦意義を満たすだけの魅力とインセンティブがなく、市販車市場のニーズ並びにトレンドと乖離している事を知らしめる格好となった。
F1がメルセデス、ルノー、フェラーリの3社のみとなるのに対し、電動レーシングカーによるフォーミュラE選手権には日産、アウディ、ジャガー、ポルシェ、BNWなど10社もの自動車メーカーがリストに名を連ねている。フェラーリが自動車メーカーであるか否かについては議論が分かれるところだろうが、そんな跳馬を数に入れてもこの有様だ。
2007年と2008年にワークスホンダを率いて、ジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロと共にF1世界選手権を戦ったキャリア42年を誇る65歳のイギリス人エンジニアは、ホンダにとってのF1がDNAであるように、F1にとってもホンダは欠くことの出来ない歴史の一部であり、”第5期F1活動”を楽観的に考えているという。
ブラウンはF1アイフェルGPを終えて筆を執ったコラムの中で「ホンダが2021年末にF1から撤退するのは残念なことだが、私のレースキャリアにおいて彼らは何度も何度もカムバックしてきた。4度目だ」と語った。
「彼らを巡る諸状況が変わり、F1が一歩前に進んだ時、再びホンダを引き込む事ができると楽観している。なぜならホンダはこれまで常にF1にとって重要な存在であったし、F1コミュニティのメンバーを温かく迎え入れてきれくれたからだ。この先もそうであると願っている」
ロス・ブラウンと話をするレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表 / © Red Bull Content Pool
ブラウンはまた、次世代のレギュレーションがホンダを含めた各国の自動車メーカーにとって魅力あるものであるべきだとの認識を示し、業界に寄り添っていく意向を示すと共に、ホンダに対して新しいルール策定の協力を求めた事を明らかにした。
「すべての自動車会社は現在、大きな課題に直面している。F1はそうした課題に対応して関連性を保ち、F1そのものとは関係ないところにある彼らの目標を支援できるようなチャレンジをF1内部に設ける必要がある」とブラウンは語る。
「遅くとも2026年までに導入される予定の新しいパワーユニット規定がホンダの再参戦を促す事を願っている。またこれと並行して、将来的にどのようなパワーユニットを採用するかを提案するためのFIAの新しいワーキンググループに参加するよう彼らに働き掛けていく」
「彼らはF1の素晴らしいパートナーであり、今後も彼らと一緒に働ける事を楽しみにしている」