ルノー、F1撤退どころか「消滅する可能性ある」とフランス財務相
フランスのブリュノ・ル・メール財務相は5月22日(金)、早期の財政支援なき場合、ルノーは廃業を余儀なくされる可能性があると認めた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響でF1活動はおろか、本業までもが脅かされている厳しい状況が浮かび上がってきた。
20億ユーロ(約2,345億4,907万円)規模のコスト削減計画の一環として、ルノーが持つ複数の工場が閉鎖の危機にさらされているとするフランス国内メディアの報道を受けて、ルノー筆頭株主であるフランスのル・メール財務相は金曜日のラジオ番組の中で、同社の今後について「消滅する可能性がある。一大産業が失われるかもしれない」と述べ、経営状態の深刻さに言及した。
報道では、アルピーヌA110を生産しているディエップのファクトリーや、パリ郊外のショアジー=ル=ロアのスペアパーツ工場、そしてモルビアンにあるエンジン及びギアボックスの生産工場などが閉鎖の対象リストに並んでいるという。
COVID-19の世界的流行を発端とする需要低迷および流動性資産の減少に対処すべく、欧州連合(EU)はルノーへの支援として計画されているフランス政府による50億ユーロ(45億ポンド)の融資を承認しているが、ル・フィガロ紙が伝えたところによると、ル・メール財務相はまだサインしておらず、依然として融資が行われない可能性がある事が明らかとなっている。
ルノーは昨年、過去10年で初めて赤字に転落した。これに輪をかけるように、新型肺炎によるパンデミックが発生し、3月中旬に国内12の施設での生産を停止を強いられた。今月に入ってようやく大部分の工場での生産活動が再開されたが、他の自動車メーカーと同じように、肝心の顧客は当局によるロックダウンのために自宅で隔離状態に置かれており、自動車への需要は大きく低迷している。
ルノーは週明け29日(金)にもコスト削減計画の詳細を発表する見通しで、アライアンスを組む三菱や日産も、来週中を目処に事業の見直しの詳細を明らかにするものとみられている。共同通信は22日(金)、日産が欧州や新興国を中心に2万人規模のリストラを実施する可能性があると報じており、3社連合の行く先に大きな注目が集まっている。
仮に50億ユーロの融資が実施されたとしても、F1への参戦継続の意義を納税者に理解してもらうのは決して容易い仕事とは言えず、噂レベルでの懸念事項であったルノーのF1撤退のシナリオが遂に顕在化したと言える。マクラーレンへと移籍するダニエル・リカルドの後任人事に注目が集まり、セバスチャン・ベッテルやバルテリ・ボッタスの名が取り沙汰されているが、そもそも後任が不要となる可能性が徐々に高まりつつある。