「ピエール・ガスリーは勉強熱心」とトロロッソ、レッドブル合流に先立ってタイヤマネジメントに磨きをかける
ピエール・ガスリーはF1フル参戦初年度に早くも本家レッドブル・レーシングとの契約を勝ち取る事となったが、何がレッドブル首脳陣の心を浮き動かしたのだろうか?スクーデリア・トロロッソのジョナサン・エドルズ主任レースエンジニアによると、ガスリーは「とても勉強熱心」であり、この一年間でタイヤマネジメントに関しての能力が飛躍的に向上したという。
ガスリーは昨年のシーズン途中でトロロッソからデビューを飾り、今年初のF1フル参戦を迎えたばかりだが、第2戦バーレーンGPで4位入賞を果たすなどルーキーとして目覚ましい活躍を見せており、ルノー・スポールへと移籍するダニエル・リカルドの後任として来季レッドブルのチケットを手に入れた。
「まず第一に、彼は自分の才能にかなりの自信を持っている」とエドルズ。F1ブラジルGP公式プレスカンファレンスでの質疑に答えた。「非常に速さのあるドライバーだし、シーズンを通して着実に成長していると思う。最も成長した領域はタイヤマネジメントに関する部分だろう」
ガスリーは2016年にGP2シリーズでチャンピオンを獲得した後、2017年はチーム無限から日本のスーパーフォーミュラに参戦。SFは横浜ゴムのワンメイクレースであるため、ガスリーはF1へのステップアップに際して、イタリアメーカーのコンパウンドに慣れる必要があった。
「ピエールは開幕の時点で既に高いレベルにいたものの、ピレリタイヤはコンディションの違いによる影響の度合いが大きい。レース毎に挙動が異なるし、その時々によってグレイニングが出たりブリスターやオーバーヒートに見舞われたり、とにかく毎回がチャレンジなんだ。ピエールが改善に取り組み、最も成長した部分はそういったエリアだと思う」
レッドブルは”そこそこ速いドライバー”を求めていない。彼らが欲しているのは”チャンピオンシップで勝てるドライバー”、つまり将来のF1ワールドチャンピオン候補だ。どのような分野であれ、頂点に立つものは日々自分の有様を客観的に見つめ直し、少しでもブラッシュアップしようと切磋琢磨する。ガスリーは自らに圧倒的に不足していた「ピレリタイヤの扱い方」を克服するために、エンジニアを交えて学びを重ねた。
「ここ何レースかは我々側もタイヤへの理解が不十分だったんだが、素晴らしいことに彼はレース後に進んで全ての状況を復習しようとしていた。凄く勉強熱心なんだ」
「直近の数戦は特にタイヤマネジメントにおいて大きなステップを踏んでいるけど、それだけじゃなく、ピエールは予選においてグリップを感じ取る能力にも長けている。シーズンの最初の頃でさえ、彼は予選を通してどの程度のグリップが引き出せるかを既に感じ取る事が出来る状態だった。彼はグリップの大きさに驚いただろうね。それは凄く難しい事なんだが、彼はこの部分に関しても大きく成長を遂げている」
ガスリーの来年のチームメイトは将来のF1を背負って立つとの高い評価を受けるマックス・フェルスタッペン。ガスリーはグリッド最強のライバルに立ち向かう事になるが、3年間に渡って築き上げてきたホンダとの関係性がアドバンテージになるとして、フェルスタッペン相手に一歩も引かない姿勢を示している。