ミハエル・シューマッハとルーベンス・バリチェロ
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ジョイント・ナンバー1

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ジョイント・ナンバーワンとは、二人のドライバーを同列に扱う、すなわち二人ともナンバーワンのドライバーとして同待遇で扱いますよ、ということ。基本的にマクラーレンとウィリアムズはドライバーに優劣を付けず対等に扱う文化があるので、このチームはジョイント・ナンバー1制であると言って差し支えないだろう。最近はあまり明示しない。

ジョイント・ナンバー1制のメリット

ナンバーワンを決めてしまうとナンバー2のドライバーに不満が溜りドライバー間の不和を招く。結果ナンバー2がチームから離脱してしまうパターンが多い。この点ジョイントナンバーワン制は両ドライバーともに同待遇なので切磋琢磨しチームが活性化する。ジョイントナンバーワン制の議論は、市場原理主義と社会主義のそれに似ている。

ナンバー1制のメリット

ミハエル・シューマッハが7度のワールドチャンピオンを獲得できた理由の一つはナンバーワン制と言えるだろう。ナンバーワンを明示することでセカンドドライバーはナンバーワンをサポートし、チームが一丸となって同じ目標に向けて邁進できる。

ミハエルのタイトル獲得の裏側にはジョニー・ハーバート、エディ・アーバイン、ルーベンス・バリチェロ、フェリペ・マッサといったセカンドドライバーの名サポートがあったことは否定できない。

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2007年シーズン、最終戦までもつれ込んだタイトル。1位ハミルトンが107ポイント、2位アロンソが103ポイント、3位ライコネンが100ポイントという状況でのレースとなり、最終的にはライコネンが優勝を飾りマクラーレンの二人を通算で逆転しワールドチャンピオンに輝いた。歴史に「もし」はないが、仮にこの年マクラーレンがナンバーワン制を採用していたらどうだっただろう?

ナンバーワン制のメリットがここにあるが故にチームオーダー議論も決着をみないのだ。

ちなみにキミ・ライコネンがマクラーレンからフェラーリに移籍したとき、その契約条項の中に「他のドライバート差別なく同等に扱うこと」というジョイント・ナンバーワン制が含まれていた。実にキミらしい。