ハミルトン移籍告白の「5分後」にアントネッリ起用を決心とウォルフ、惑わされない父子の”忠誠心” 逸話を明かす
ルイス・ハミルトンの後任が正式に発表されたのは8月末日だが、メルセデスのトト・ウォルフ代表はシーズン開幕前の段階からアンドレア・キミ・アントネッリの起用を心に決めていたと説明した。
英RaceFansによるとウォルフは、ハミルトンがフェラーリに移籍することを告げてきた「5分後」に、アントネッリを次のドライバーに選ぶことを決心したと主張した。7度のF1ワールドチャンピオンのフェラーリ加入が発表されたのは今年1月のことだった。
一方でウォルフは、2028年末までレッドブルと長期契約を結んでいる3度のF1王者マックス・フェルスタッペンの獲得を狙って毎週末のようにラブコールを贈り続けていた。断念したのはサマーブレイクに入って後のことだった。
ウォルフは「もちろん他の選択肢も検討していた。マックスを起用するアイデアも完全には排除しなかった。レッドブルでの状況を見守っていたからだ」としつつも、「だが、これが私が本能的に望んでいたラインナップだ」と付け加えた。
メルセデスと関係が深いレーシングドライバーのマルコ・アントネッリを父に持つキミがメルセデスの若手プログラムに加わったのは12歳の時だった。
以降、ジュニアカテゴリーを通して研鑽と経験を積み、実績を残していったアントネッリは、いつしか「次のマックス・フェルスタッペン」とも評されるようになり、イタリア期待の星としてF1へと至る改段を着実に登っていった。
そんな最中の2021年には、母国の伝説的F1チーム、フェラーリのドライバー・アカデミーが主催するスカウトキャンプに招待されたこともあった。
ウォルフは、アントネッリが評価を高めていく中で「国籍上の理由」からアントネッリを狙うF1のライバルチームがいたことを明かし、それでもなおメルセデスに対する「忠誠心」を示したアントネッリ父子を称賛した。
「謙虚さが大きな要因だ。忠誠心もそうだ」とウォルフは語る。
「キミが成長し、成功を収めていったことで、国籍上の理由から彼を狙うライバルチームもいたが、マルコ・アントネッリは常に『我々にチャンスを与えてくれたのはあなた方だ。だから我々はあなた方についていく』と言ってくれた」
アントネッリにしろラッセルにしろ、メルセデスはドライバーの契約期間を公表していない。ウォルフは2026年以降のフェルスタッペン獲得に関して含みを残しているが、ラッセルとアントネッリのラインナップが「ベスト」だと信じていると主張した。
「過去にもそうしてきたように、我々は常にドライバーとの契約期間を短く抑えてきた。ルイスとの現行契約も『1年+1年』だった。これがこのチームのやり方だ」とウォルフは語る。
「ただ最も重要なのは、ジョージとキミがどうやってチームに溶け込むかということだ。現段階では彼らを信頼しない理由はないし、彼らがチームを前進させてくれると信じない理由もない」
「契約の詳細については今後、我々の中で話し合うことになるが、メルセデスにとってベストな選択だと100%信じていなければ、このラインナップを選びはしなかっただろう」