シャットダウン期間を終えて英国ブラックリーのファクトリーでマスクを着用して作業に取り組むメルセデスAMGのスタッフ
Courtesy Of Daimler AG

WHO「低リスク」とお墨付き、COVID-19乗り越え早くも再始動するモータスポーツ

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モータスポーツはNASCARとインディカーというアメリカ国内シリーズが先陣を切り、エンジンに再び火を入れシーズンを再開させた。世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大という点で、モータスポーツはリスクの低い競技だと評価しており、国際的スポーツであるF1は、他に先行して7月5日にチャンピオンシップをスタートさせる。

先進国を中心に新型肺炎の勢いに陰りが見られる一方で、ブラジルやインドといった新興国では歯止めの兆しがない。第二波の到来も強く予想されているだけに、イベント再開に際しては厳重な対策が求められるが、国際自動車連盟(FIA)は安全にモータースポーツを再開させ、これを持続させるために、ASN(各国モータースポーツ団体)が取るべき12の行動指針を提唱している。

シャットダウン期間を終えて英国ブラックリーのファクトリーでマスクを着用して作業に取り組むメルセデスAMGのスタッフ
© Daimler AG / シャットダウン期間を終えて英国ブラックリーのファクトリーでマスクを着用して作業に取り組むメルセデスAMGのスタッフ

この指針では、アウトブレイク発生を前提とした組織計画の重要性や、ウイルス検査・テストキット・モニタリングの意義・方法に関する言及のほか、「国民の士気を高めて”平時”である事を強く知らしめる」ためにスポーツの迅速な再開を強く希望する国もある事や、無観客レースでの再開が予想される事からファンとの接点の維持や再エンゲージのために積極的な広報活動が求められる事など、広範に渡るアドバイスが並べられている。

FIA副会長のグラハム・ストーカーは「一致団結して情報を共有し合えば、この状況を乗り越えてスポーツ再開に向けて前進できるはずだ」と述べ、FIAが積極的な役割を果たしていく事を約束しており、イギリス、オーストラリア、オーストリア、ドイツの各国ASNは既に再開計画を発表し準備を進めている。

WHOのテドロス・アダノム事務局長がパンデミックを宣言した3月11日から3ヶ月。予想以上に早い段階でモータスポーツ界が再開にこぎ着けた背景の1つには、WHOによるお墨付きがあったようだ。

指針ではWHOがモータースポーツを「リスクが低いスポーツ」であると見なしている事が紹介され、その理由として「モータースポーツは、個人やチームが物理的に競い合うような密着型のスポーツではない」点が挙げられている。

とは言え事前に全てを予見する事は不可能であり、F1の最初のイベントの成否が他のシリーズの再開時期を左右する可能性があるだけに、オーストリアでのグランプリは選手権としても去ることながら、感染症対策が成功裏に終わるかどうかという点でも注目される。