フェルスタッペン、”緑の地獄”でのF1走行熱望も「ダメだ、ダメだ、そんなことするな!」とレッドブル許さず
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マックス・フェルスタッペンは独ニュルブルクリンクのノルドシュライフェをF1マシンで走行したいと希望したものの、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはこれを許さなかった。
ニュルブルクリンク12時間レースの開催に合わせて今年9月に行われる「レッドブル・フォーミュラ・ニュルブルクリンク」では、サードドライバーのダニエル・リカルドが2012年型「RB8」を、昨年末で引退したセバスチャン・ベッテルが合成燃料(e-fuel)を使って2011年のチャンピオンマシン「RB7」を走らせる。
3連覇を目指す現役F1ワールドチャンピオンはベッテルやリカルドと共に、”緑の地獄”の異名を持つニュル北コース、ノルドシュライフェでのF1ドライブを望んだものの、フェルスタッペンの気質を誰よりも知るマルコは断固として首を縦に振らなかったようだ。
英「Autosport」によると、F1カナダGPを前にフェルスタッペンは「僕はやりたかったんだけど、ヘルムートが許してくれなかったんだ」と説明した。
「彼は僕が限界まで攻めるつもりだって分かってたんだ。やりたかったのに」
「この話が持ち上がった時、ヘルムートと一緒にテーブルを囲んでいたんだけど、『ダメだ、ダメだ、そんなことするな!』って言われてね」
チーム内での発言力を以てすれば、マルコを含むレッドブル首脳陣を説き伏せる事もできたはずだ。だが「不必要な問題」を避けるため、フェルスタッペンは敢えてそうしなかった。
今回は実現しなかったものの、F1マシンでノルドシュライフェを走りたいという2度のF1王者の夢は変わっていない。ただF1での走行が許可されないのであれば「いつかの日か、GT3マシンか何かで走りたい」とフェルスタッペンは付け加えた。
9月のイベントでの走行はあくまでも”デモ走行”という位置付けだが、フェルスタッペンは「もちろん、やってみたかった」と述べ、コースレコードへの挑戦に駆られるところがあったと認めた。
ノルドシュライフェのF1最速ラップは1975年のドイツGP予選でフェラーリ312Tをドライブしたニキ・ラウダが持つ6分58秒6だ。全車種対象では2018年にティモ・ベルンハルトがポルシェ919ハイブリッドEvoで記録した5分19秒546という記録が残っている。
世界で最も速いF1マシンを走らせる事のリスクはノルドシュライフェであろうが、ジル・ビルヌーブ・サーキットであろうが変わらないとフェルスタッペンは主張する。
「ここでドライブするのだって危険性はある」「(リスクというものは)どういう風にバリアにぶつかるかに依るんだ」とフェルスタッペンは語った。
ノルドシュライフェで最後にグランプリが開催されたのは47年前。GPコースではF1アイフェルGPの名の下に2020年に開催されたが、ラウダの事故の影響もあり北コースでのレースは1976年を最後に途絶えた。
F1マシンがノルドシュライフェを走行するのは、2013年にミハエル・シューマッハがニュル24時間のサポートの一環としてメルセデス「W02」を駆って以来、10年ぶりとなる。