ベルニュ、不振のマクラーレンを懸念「優勝に足るエンジンを積みながらホンダの後ろにいるのはマズイ」
先日行われたWEC世界耐久選手権開幕スパ6時間レースで、かつてF1でしのぎを削ったフェルナンド・アロンソと再会したジャン=エリック・ベルニュは、不振が止まらないマクラーレンF1チームの現状への懸念を口にした。
「レースで勝利しているチームと同じエンジンを積んでおきながら、ホンダを積むトロ・ロッソの後ろにいるのはマズイよね」とベルニュ。同じルノー製パワーユニットを搭載するレッドブルは、既に今季第3戦中国GPでトップチェッカーを受けているが、マクラーレンは表彰台すら遥か彼方といった状況が続いている。
ホンダとルノーとのエンジン性能にあまり大きなギャップがない事はルノー首脳陣も認めるところであり、マクラーレンがトロ・ロッソより後方にいる事があったとしても驚くべき事は何もない。だが、ベルニュの発言の背景には、パフォーマンス不足の責任をすべてホンダに押し付け、他のエンジンを積みさえすれば表彰台に返り咲けるとするマクラーレンの仰々しい喧伝があった。
「マクラーレンは大きなプレッシャーを抱えているんだろうね。フェルナンドから聞いた話だと、チームはバルセロナに向けて大量の新しいパーツを準備してるらしいから、その点は彼にとってもストフェル・バンドーンにとっても良い話だと思う」
マクラーレンは開幕オーストラリアで投入する予定であった大型のアップグレードをカタロニア・サーキットに持ち込むが、アロンソは「一夜にしてグリッド先頭に返り咲く銀の弾丸は存在しない」と述べ、パフォーマンス改善は小幅に留まるだろうとの認識を示し、ファンや関係者からの過度な期待を牽制している。
アロンソはフェラーリ在籍時の2013年F1スペインGP以来一度も優勝できておらず、選手権争いの蚊帳の外に置かれた状態が続いている。だが、ベルニュはアロンソの腕は確かであり、問題はドライビングスキルではなく車両そのものにあると強調する。
「もしフェルナンドがメルセデスかフェラーリにいればレースに勝っているはずさ。彼はセバスチャン・ベッテルやルイス・ハミルトンと比べても決して劣ってはいないからね」
2012年にトロ・ロッソからF1デビューを果たし、シート喪失後はフォーミュラEを主戦場に移しているベルニュは、シーズン8戦を終えて3勝4ポールポジションで選手権をリード。目立った活躍を示せないままにF1を去る事になったフレンチマンは、新天地でその実力を開花させている。