世界で活躍する二人の日本人モータースポーツアスリート、アルファタウリ・ホンダからFIA-F1世界選手権に参戦する角田裕毅とLCRホンダ・イデミツからロードレース世界選手権（MotoGP）に参戦する中上貴晶が初対面。カートで対戦した。

これはミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されるMotoGP第14戦サンマリノGPに合わせて行われた企画で、意外（？）にも神奈川県出身の角田裕毅と千葉県出身の中上貴晶が顔を合わせたのは今回が初めてだった。

21歳の角田裕毅は2021年にF1デビューを果たし、2022年もアルファタウリ・ホンダに残留する事が決まっている。一方、29歳の中上貴晶は今年でMotoGP最高峰クラスでの4年目のシーズンを迎え、待望の初優勝への期待が高まっている。

F1サーカスはベルギーから始まった激怒のトリプルヘッダーを終え、2週間後の次戦ロシアGPまで束の間の休息に入った。ミサノは角田裕毅の住まいがあるファエンツァから1時間程と距離が近い事から今回の企画が実現した。

2021年9月15日、角田裕毅はイタリアの自宅で中上貴晶と対面し、その後アルファタウリ・ホンダのファクトリーを案内。MotoGPライダーに2020年型F1マシン「AT01」や無数のボタンが並ぶF1のステアリングなどを見せて回った。

2人はその後、ホンダNSXに乗って近くのカート場に向かい、1対1のレースを楽しんだ。異なる道を歩む2人のトップアスリートは互いに大きな刺激を受けたようだ。

角田裕毅は「カートに乗るのは数年ぶりと久しぶりだったのですが、タカ選手はバトルが凄く上手く感銘を受けましたし、対決は凄く楽しかったです」と1日を振り返った。

「勝負事でステアリングを握ると人が変わったように姿勢が変わりますね。色々な事を学ばせて貰いましたし、良い関係が築けたのではと思います」

カート対決を終えて角田裕毅は今週末のMotoGPイベントへの招待を願い出た。中上貴晶はこれを了承。角田裕毅は今週末のミサノで初めてMotoGPを観戦する。

「MotoGPを見るのは今回が初めてですし、生身の人間が時速350km以上のバイクで走るわけですし本当に楽しみにしています」

「タカさんはモータースポーツの大先輩ですし、ミサノで間近に見るチャンスに恵まれましたので、色んな事を吸収して活かしていければと思っています」

また、ロシアGPの後に予定されていた日本GPの中止については「小林可夢偉選手以来となる7年ぶりの日本人F1ドライバーになれた事は凄く運が良かったと思いますし、ファンの前で鈴鹿を走るのを楽しみにしていましたので、今年中止になってしまった事は凄く残念ですが、来年を楽しみに頑張っていきたいと思います」と語った。

一方の中上貴晶はF1ドライバーを相手に腕試しができた事に満足しているようだ。

「今回初めて裕毅くんと会ってカート対決したのですが、カートに乗るのは久しぶりですし4輪での経験が少ないので、コーナー毎に何処でブレーキングを行い加速すべきなのかが分からず、常に全力で走りました」と中上貴晶は語った。

「後で彼に聞いてみたところ、例えば次にロングストレートが控えるコーナーでは立ち上がりに気をつけているといった話が聞けて勉強にもなりましたし、裕貴くんから教わる事もあり、何よりも楽しめて良かったです」

「ミサノはチームのホームグランプリで好きなサーキットでもありますし、過去にはMotoGPでもMoto2でも良い成績が残せてきているコースの一つでもあるので自分としても楽しみですし、チームのスポンサーさんが来るという事でプレッシャーはありますが、いつも通り気持ちを高めて表彰台に上がれるように精一杯頑張りたいと思います」

中上貴晶は現在、同じホンダのランキング10位マルク・マルケスに15ポイント差の13位につけている。ただウェットコンディションで行われた17日(金)のフリー走行2では奮わず、最後尾24番手でヘルメットを脱いだ。