セットアップで「やり過ぎた」とメルセデス…ポーパシングとバウンシングの違い、ハミルトンの”冷え”について説明

バクー市街地コースを駆け抜けるメルセデスのルイス・ハミルトン、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP決勝レースにてCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

F1アゼルバイジャンGPを終えてメルセデスのモータースポーツ戦略ディレクターを務めるジェームズ・ヴァウルズは、セットアップ面で「やり過ぎた」結果、ドライバーに「かなりの不快感」を与えたと認め、再発防止を誓った。

ヴァウルズは恒例のビデオブリーフィングの中で「今回我々は、パッケージ面でやり過ぎ、ドライバーに無理をさせ過ぎて、かなりの不快感を与えてしまった。こんな事は二度とできない」と述べ、週末を通して取り組んだ実験的なセットアップが激しいバウンシングを引き起こしたと認めた。

ハミルトンの”冷え”とカナダ出走見通し

レース終盤には、ルイス・ハミルトンが無線を通してシートが冷たくなったと奇妙な報告を挙げていたが、ヴァウルズによるとあれは激しいバウンシングの影響だったようだ。

「さっきルイスと数分話して、何が起きたか聞いてみたんだ。クルマ的には何もおかしいところがなかったからね」

「どうやらバウンシングによって背中を何度も殴られた結果、痺れが出て、その影響で寒さを感じたようだった」

「車内に冷たいものは何もなかったんだ。あれは彼がレース中に耐えてきた痛みに対する反応だった」

激しいバウンシングの影響で背中を痛めたとするハミルトンは、レースを終えて腰に手をやりながらクルマを降りた。チーム代表のトト・ウォルフは次戦カナダでの欠場を危惧する発言を口にしたものの、ヴァウルズは問題なく出走する見通しだと説明した。

「ルイスが今朝、この場(ファクトリー)にいる事を報告できて嬉しい。彼と共に数時間を過ごしたが、彼は大丈夫だ。モントリオールで再びクルマに戻るだろう」

ポーパシングとバウンシングの違い

チームやドライバー毎に違いはあれど、ポーパシングとバウンシングは一般的に同じ意味合いで使われている。だがヴァウルズは、これらは異なる意味をもつものだとして、アゼルバイジャンGPでW13が抱えた問題はバウンシングだったと説明した。

「ポーパシング、バウンシング、ボトミングについて、少し時間を掛けて説明してみたい。この3つの単語は同じようなものだと思われがちだが、完全に同じというわけではない」

「これまでのレースではポーパシングに悩まされてきたが、バルセロナでポーパシングが問題になる事はなかった。この問題を解決するために全力を尽くした結果、一歩前進できたと確信している」

「バルセロナではクルマが頑強かつ安定していて、車高を下げることができた。それが鍵となり、空力的により取り組めるパッケージを作ることができたし、セットアップを工夫して、ライドハイトを下げる事で生まれるパフォーマンスを得ることができた」

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

決勝レース前のグリッドで作業に取り組むメルセデスのクルー、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP

ヴァウルズによればポーパシングは空力的な問題だが、バウンシングは単にフロアが底を打つもので、後者はバクーのように路面の凹凸が激しいコースで顕著に出るものだという。

「モナコとバクーに話を戻そう。不運にもこの2レースでは、最初の問題(ポーパシング)によって覆い隠されていた2つ目の問題が明らかになった」

「ポーパシングに関しては一歩前進したと確信しているものの、明らかにバウンシングの問題が出ている。傍から見ると殆ど同じように見えるが、この2つには微妙な違いがある」

「今起きているのは、最初の問題を解決した結果、クルマが低くなった事による問題なのだ。フロアが激しく(地面に)ぶつかり、それがバウンシングを引き起こしている」

F1アゼルバイジャンGP特集

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