メルセデスW13のステアリングを握りコースへと向かうルイス・ハミルトン、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGP予選
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデス、次戦カナダでのハミルトン欠場を危惧…ポーパシングで背中に痛み

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過酷なバウンシングと底打ちの影響で「痛みをこらえて歯を食いしばるしかなかった」バクー市街地コースでのレースを終え、ルイス・ハミルトンは手で腰を抑えながらクルマを降りた。

メルセデスのトト・ウォルフ代表は、37歳のイギリス人ドライバー、あるいはジョージ・ラッセルが1週間後に迫るカナダGPに参加できない可能性を考慮して、確実にリザーブドライバーを確保しておく事が賢明との考えを示した。

バンピーな路面のバクーでのW13は、空力的な上下動、ポーパシングとフロアの底打ちによる激しい縦揺れの問題が悪化。レースを前にウォルフは、ハミルトンが完走できない可能性を危惧する発言を口にしていた。

結局のところ、描いた悪夢が現実になる事はなかったものの、ハミルトンは「特にここのストレートで味わう痛みは表現しきれないほどだった」と述べ、バウンシングが解消できれば「少なくとも1秒」を改善できるはずだと主張した。

F1アゼルバイジャンGPとジル・ビルヌーブ・サーキットで行われる次戦カナダGPは連戦で、決勝レースの5日後には初日フリー走行が開始される。

ハミルトンはカナダに飛ぶ前に英国ブラックリーのファクトリーに戻り、ミーティングに参加する意向を明らかにしているが、ウォルフは不測の事態に備えて代替要員を現地に帯同される事が合理的だと認めた。

英Autosportによるとウォルフは、身体的な痛みによってハミルトンが次戦カナダでの走れない可能性を懸念しているかと問われ「もちろんだ」と同意した。

「(レース後に)彼には会っていないし話をしてもいないが、これが筋肉に限った事でないのは分かると思う」

「つまり、脊椎にまで及んでいて、何らかの影響をもたらす可能性があるという事だ」

「これはルイスだけの問題ではないと思う」

「おそらく最も大きな影響を受けているのは彼だろうが、ジョージやほかの多くのドライバーにも影響が出ている」

「解決策としては、全てのレースで2台のマシンを確実に走らせられるよう、リザーブとなる誰かを確保しておくことだと思う」

メルセデスはフォーミュラE選手権でワークスを務めるストフェル・バンドーンとニック・デ・フリースをリザーブドライバーとして起用しており、正規のリザーブがいない幾つかのチームと比べれば万全の状態を備えている。

今季はシーズン中に少なくとも2回、フリー走行で実戦経験2戦以下の若手ドライバーを起用する義務があるため、モントリオールでの初日FP1でこれを利用する手もある。

なお、ポーパシングやバウンシングの影響に対する不満の声については、自分達に有利なようにレギュレーション改定の機運を作るためのロビー活動だとの指摘もあり、メルセデス陣営からの不満については、ランド・ノリス(マクラーレン)がパフォーマンス追求を諦めれば良い事だと一蹴している。

ジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台とする次戦カナダGPは6月18日のフリー走行1で幕を開ける。

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