
アストン・ホンダの“説得”で実現したストロール異例の出走許可/F1オーストラリアGP予選
2026年F1開幕戦オーストラリアGPの決勝を前に、異例の決定が下された。週末を通してすべてのセッションで一度も107%ルールを満たせなかったランス・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)に対し、スチュワードが出走許可を与えたのだ。
通常、予選ノータイムに終わった場合でも、出走許可はほぼ自動的に下される。実際、Q1でクラッシュしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)や、信頼性トラブルにより出走できなかったカルロス・サインツ(ウイリアムズ)は、何ら特別な手続きを経ることなく許可を得た。
だが、今週末を通じて一度も基準タイムをクリアできなかったストロールの場合、話は全く別だった。最終的に許可が下りた背景には、チームによるプレゼンがあった。
スチュワードを動かしたアストンの主張
レッドブルとウィリアムズは通常通り、単に許可を求めただけだが、アストンにはスチュワードを納得させるだけの説得力あるプレゼンが求められていた。チームは、出走許可を求める理由として次の5点を提示した。
- もう1台のAMR26で107%以内の予選タイムを記録できることを示した
- ストロールは今季これまでにAMR26で合計859kmを走行している
- ストロールは2017年のデビュー以来、178戦に出場している
- ストロールはオーストラリアGPに7回出場し、そのうち6回で完走、2023年には4位を記録。サーキットについて十分な理解を持ち合わせている
- ストロールは通算325ポイントを獲得、表彰台および1回のポールポジションを記録している
これに加えてアストンは、ストロールが予選に出走しなかった理由についても説明した。チームによれば「車体のオイルライン損傷」が確認されたため、予選出走を見送るという「慎重な判断」を下したという。なお、ホンダ側はこの問題を「ICE側のトラブル」と説明している。
こうした詳細な説明が求められるケースは、近年のF1では例がない。スチュワードは以上6点の主張を認め、ストロールの最後尾グリッドからのスタートを許可した。
残る最大の懸念は“完走できるのか”
出走許可という第一関門は突破したものの、58周の決勝を完走できるかについては依然として大きな疑問符が付く。アストンはスペアバッテリーが底を突く危機にあり、ホンダ製パワーユニットの信頼性にも不安がある。
とはいえ、ホンダの折原伸太郎チーフエンジニアは「データ上、バッテリーの振動問題はバーレーンテスト以降、減少傾向にあります。今後も引き続き作業に取り組んでいきます」としており、最悪の状況から脱しつつある可能性も見え始めている。
予選17番手のフェルナンド・アロンソと、最後尾スタートとなるストロール。アストンマーティン・ホンダにとっての開幕戦は、アロンソが語ったように順位を争う以前に、次戦中国GPへ向けて「マシンを生かすこと」が最大のミッションとなる。
ホンダとアストンが不眠不休で作り上げたAMR26は、メルボルンのチェッカーフラッグまで鼓動を刻み続けることができるのか。新時代の幕開けを告げる決勝レースは、現地時間15時(日本時間13時)にスタートを迎える。