繰り返される8年前の歴史、魔が巣食うシンガポールで突如潰えたレッドブルのF1連勝記録

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)をリードするケビン・マグヌッセン(ハースVF-23)、2023年9月17日(日) F1シンガポールGP決勝レース(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

レッドブル、そしてマックス・フェルスタッペンの今季連勝記録はそれぞれ15回と10回で突如潰える事となった。それはV6ハイブリッド時代に支配的な強さを誇っていた8年前のメルセデスを彷彿とさせた。

2015年の9月、開幕12戦で10勝を挙げていたメルセデスの支配的なペースは、シンガポール特有の高温、高湿度環境で不意に蒸発。消え去った。

クルマに大きな変更はなく、技術指令によるFIAの介入があったわけでもないが、予選では2台揃って2列目圏外に沈み、レースではニコ・ロズベルグが辛うじて4位フィニッシュするに留まった。

メルセデス自身でさえ、この唐突な競争力の低下には眉間にシワを寄せた。その翌戦の日本GPでは何事もなかったかのように1-2フィニッシュを飾った。シンガポールには魔物が巣食っている。そんな印象を与える1戦だった。

あれから8年。レッドブルは5年ぶりに2台揃ってQ3を逃し、レースではフェルスタッペンが5位に返り咲くのがやっとで、代わってトップチェッカーを受けたのはトロ・ロッソ時代の僚友カルロス・サインツ(フェラーリ)だった。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

表彰台に立つ2位ランド・ノリス(マクラーレン)、優勝カルロス・サインツ(フェラーリ)、チーム代表兼ゼネラルマネージャーのフレデリック・バスール、3位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2023年9月17日(日) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)

チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「まずはフェラーリを祝福したい。カルロスは素晴らしいレースをして、勝利を掴み取った。今日は間違いなくエキサイティングなレースになったが、我々にとっては本当に不運なレースだった」と振り返った。

「セーフティーカーはこれ以上ない最悪のタイミングで導入された。これによって我々が優勝争いに加わる可能性は完全に絶たれた」

「残念なレースではあったが、前向きな材料も多い。終盤のマックスのペースと、チェコの巻き返しは非常に力強いパフォーマンスの表れだった」

「いつか終わりが来ることは分かっていた。15連勝は信じられないほどの偉業だし、マックスの10勝も同様に注目すべきものだ。チームが素晴らしい仕事をした証だ」

「我々は勢いを持って日本GPに向かう事になる。再びコースを走るのを楽しみにしている」


2023年F1第16戦シンガポールGP決勝は、カルロス・サインツ(フェラーリ)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。

三重県鈴鹿サーキットを舞台とする次戦日本GPは9月22日(金)のフリー走行1で幕を開ける。

F1シンガポールGP特集

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